民医連新聞

2012年3月5日

相談室日誌 連載344 国保法77条の活用について 島邊洋平(岐阜)

 「岐阜市国保を良くする会」では、毎年七、八月に国民健康保険料の減免申請を集団で行っています。これは、国民健康保健法七七条に基づいた岐阜市の国民健康保険条例を活用したとりくみです。
 みどり病院では、毎年この時期にあわせて、地域の人たちに対し、国保の保険料の減免申請の相談や申請書作りを手伝っています。また、このお知らせチラシを準備して、職員たちが近隣の公営住宅に配布しています。
 個人で国保窓口に行く場合、対応が悪いことは珍しくありません。そのために保険料が決まるこの時期に、行政と調整しながら、多数の申請を一挙に行うこと にしています。毎年一〇〇人前後が申請します。昨年三月に医療費の支払いで相談に来たAさんもその一人でした。
 Aさんは働いていますが、定年を過ぎてから、仕事が減っています。持病の腰痛もあり、以前のようには働けず、生活が苦しくなっていました。そこで当院の 無料低額診療事業が使えないか、検討しましたが、老後のための貯蓄が一定額あったため、対象になりませんでした。
 最初は国保料の分割納付を検討しましたが、減免される可能性もあると思い、申請しました。その際に窓口で、Aさんが働けないことが分かる診断書があれば、さらに減額があるかもしれないと教えられました。
 そのアドバイスも踏まえて申請をした結果、月額約一万八〇〇〇円だった国保料が、八〇〇〇円以下に。一万円もの減額です。後日、来院したAさんは、とても嬉しそうに減額された通知書を見せてくれました。
 このような意義のあるとりくみですが、チラシを見て参加される方は数名です。
 しかし、今回のケースを通じて、国保法七七条の活用で保険料負担を軽減できるとわかりました。そして、もっと大勢の人にこの制度を知ってもらい、活用されるように援助していくことの大切さを感じています。
 また、支払えないほど高すぎる保険料が、大きな問題だと改めて認識し、国保料を引き下げる運動も広げたいと思いました。

(民医連新聞 第1519号 2012年3月5日)

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