民医連新聞

2012年2月20日

被災地発(9) 新鮮な野菜と“真心”を福島へ送る「チーム朝市」 静岡民医連看護委員会

 静岡民医連看護委員会は昨年七月から、地元の新鮮な野菜を福島県民医連の郡山・福島両医療生協に送っています。朝に採れた野菜を 送ることから、活動の名称は「チーム朝市」。放射能の影響が心配な福島の職員から「子どもたちが安心してキュウリやトマトを丸かじりできる」「福島のこと を忘れないでくれるのが嬉しい」との声が。脱原発に向けた両県連の交流も始まっています。

 チーム朝市のきっかけは、震災直後の支援を通して、浜北医療生協(浜松市)へ届いた福島の窮状でした。「野菜は三回洗い、ゆでてから食べている」、「基準値を下回っている食材でも、子どものことを考えると心配」など日々の食事に困っていました。
 職員の気持ちに動かされた生協きたはま診療所の橋爪伸江看護師長(チーム朝市の名付け親)が、家庭菜園の野菜を送ろうと提案。職員や組合員からたくさんの野菜が集まり、箱に詰めて発送するようになりました。
 静岡には、東海地震震源域の真上に世界一危険と言われる浜岡原発(御前崎市)があります。「福島の原発事故は人ごとではない」と、看護委員会の呼びかけ で、浜北のほか三島、静岡、浜松の事業所が健康友の会会員と協力して同様のとりくみを開始。野菜のほかにもミカンや柿、手作りの菓子、寄せ書き、医療生協 ニュースなどを送っています。
 朝市の活動が「福島の農家復興の妨げにならないか」と心配する人も。橋爪さんは「福島の職員が今、困っていることに応えたい、との一心で始めた活動で す」と話します。職員が内部被曝の危険性について正確に説明できるようになろうと、看護委員会で学び、職場での学習も提起しました。

静岡の明日を考える

 野菜の発送を通じ、両県連の交流が始まりました。昨夏の看護師リフレッシュ企画では、福島県連の親子一三九人が静岡県連の浜北サマーキャンプに参加。福島、静岡両県の脱原発集会に、それぞれの県連代表が駆けつけたり、原発廃炉の署名にも協力しました。
 静岡民医連看護委員長の澤端真紀さん(静岡田町診療所)は「浜岡原発を抱える私たちにとって、福島の今を知り、静岡の明日を考える良い機会になりました」と話します。

“八百屋” がオープン

 郡山医療生協では、桑野協立病院の西東秀子さん(看護師)が中心になり、院内保育所をはじめ二八部署に野菜を届けています。毎週恒例のため、責任者の名前をとって「西東八百屋」と呼ばれています。
 「本業は医療安全管理室の室長ですが、院内では八百屋で有名になりました」と西東さん。中二の長男と小三の長女の母親でもあり「後悔したくないので、福 島よりなるべく遠くでとれた野菜を使っています」と言います。
 「これまで意識したことがなかった静岡が、身近な県になりました。野菜はもちろんのこと、福島を気にかけて下さる気持ちが嬉しい」と西東さん。同医療生 協には、静岡以外に北海道、青森、福井、岐阜、京都、和歌山、愛媛、熊本から野菜をはじめ地域の特産品が届いています。支援で福島入りした全国の看護師 が、地元に帰ってから「福島のためにできることを」と、食材を送っています。
 澤端さんは「改めて民医連は“心ひとつ”なのだなぁ、と胸が熱くなります。心を贈り、心をいただく。静岡と福島のエール交換を、これからも息長く続けていきたい」と言います。

(民医連新聞 第1518号 2012年2月20日)

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