医療・福祉関係者のみなさま

2011年12月19日

介護めぐる情勢学び 民医連地域包括の役割語りあう 第5回地域包括支援センター交流会

 一一月二四、二五の両日、東京都内で全日本民医連第五回地域包括支援センター交流会が開かれ、主任介護支援専門員や社会福祉士、 看護師など、二四県連から約五〇人が参加しました。「改正」介護保険法や「地域包括ケア」を含む社会保障をめぐる情勢を深め、民医連の地域包括支援セン ターの意義と役割について議論し、交流することが目的です。(丸山聡子記者)

 冒頭、林康則・全日本民医連事務局次長があいさつ。「政府は高齢者を施設から安上がりな在宅へ移そうとしているが、民医連はそれに抗し、誰もが安心して暮らせるまちづくりをめざす。最前線を担うのが地域包括支援センターです」と強調しました。
 介護・福祉部長の山田智さん(全日本民医連副会長)が基調講演。民医連が地域包括ケアにとりくむことは、「自助・互助・共助の強要」や地域主権の名の下 での福祉切り捨て、医療・介護の営利化の拡大とのたたかいであると強調。「二四時間三六五日安心安全な介護づくり」「介護・福祉を通じた市民と共同のまち づくり」と、その意義を語りました。
 基調報告は介護・福祉部の齊藤稔さん。政府が二〇二五年に実現をめざす「地域包括ケア」構想は、自己責任を土台として公的制度を縮小し、介護や福祉を民 間に丸投げしようとしていると指摘。民医連の地域包括支援センターには、「市民の権利を守る」「医療・福祉の総合的ネットワークづくり」「『地域づくり』 をすすめる組織者」の役割があるとして、「問題事例の発信と解決を目指し、関係機関との連携が重要だ。行政がすべき業務を請け負う立場から、行政に住民の 困難に向き合うよう求め、地域に信頼される事業所になろう」と呼びかけました。
 四人が実践報告。埼玉の地域包括支援センターみさと南の佐藤厚志さんは、事例を持ち寄って予算要望の冊子にまとめ、配食の回数拡大やセンターの運営委託 費の上乗せなどを実現した経験を紹介しました。「市に委託された立場で市に要求することにためらいもあったが、センターには、市民の方を向いた施策を要望 する責務がある」と語りました。
 宮城県からは、被災直後の必死のとりくみが。仙台・南光台地域包括支援センターの白石美恵さんは、被災後六日目まで市と連絡がとれない中、直後から安否 確認訪問をし、給水や施設への入所支援に奔走したことを報告。いまも罹災証明や減免申請の代行、虐待への対応、「震災後、外出が減った」という独居高齢者 の対応に追われています。白石さんは、震災を通じてセンターと行政の連携や安否確認、物資の支給について体制が未確立だったことがわかったと話しました。
 岡山・倉敷水島高齢者支援センターの渡邊順子さんは、小学校区ごとの小地域ケア会議の実践を報告。福岡・大牟田市中央地域包括支援センターの宮田真由美 さんは、徘徊模擬訓練が「まちづくり」の道具となり、認知症を軸にネットワークづくりが進んでいることを紹介しました。
 参加した東京・国分寺地域包括支援センターひかりの河野千代子さんは、「小地域ケア会議など住民と連携するとりくみを知り、実践したいと思った」と話していました。

(民医連新聞 第1514号 2011年12月19日)

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