医療・福祉関係者のみなさま

2011年11月21日

第10回全日本民医連学術・運動交流集会in東京 民医連綱領の実践を 全国の仲間たちと交流

 「いま、とてもワクワクしています。帰ったら、勉強したいこと、やりたいことがたくさん」。みっちり学んだ2日間を終え、広島共 立病院の櫻下美紀さん(SW)は言います。10月28~29日、第10回全日本民医連学術・運動交流集会が東京都内で開かれ、過去最高の約1450人が参 加しました。

 二年に一度開かれているこの集会、今回は東日本大震災の経験も反映したものになりました。 チェルノブイリ原発事故の被害者でもあるナターシャ・グジーさんの澄んだ歌声で始まりました。「悲劇を忘れず、過ち繰り返さないで」との思いを込めた歌声 に、参加者は聞き入りました。
 冒頭、早川純午実行委員長(全日本民医連副会長)の呼びかけで、大震災の犠牲者にたいし、全員で黙とうしました。
 藤末衛会長は、「被災地支援では、まさに民医連の日常活動が力を発揮した。その経験に学び、権利としての社会保障と平和を守る豊かな活動を交流しよう」 と強調。現地を代表して東京民医連の石川徹会長があいさつしました。
 今回は記念講演が二本。一日目の講師は、沖縄・普天間基地のある宜野湾市の前市長で沖縄県知事選で善戦した伊波洋一さん。
 日米間の密約など資料を示しながら、いかに日本の米軍基地が世界的にも無法な状態にあるかを語り、「日米安保条約がある限り、日本は占領状態にあるのと 同じ。沖縄を見れば、日米安保が見える。この異常な状態を、日本中のみんなで変えていきたい」と熱く語りました。

分科会は800近い演題

 午後は、一九の分科会(四七一演題)とポスターセッション(前回を一〇〇以上上回る三一七演題)。活発に交流しました。
 「権利としての社会保障実現をめざすたたかい」の分科会では、全国に広がる無料低額診療事業をめぐって議論。「無低診を利用して治療し、元気になった患 者さんが、仕事を再開して無低診を使えなくなり、薬代が出せなくなった。病状悪化が心配」(薬局)、「小中学校を訪問し、いい制度ですねと懇談が広がっ た」(北海道)、「済生会と共同して、就学援助の決定通知に無低診のお知らせを同封してもらうことに」(長崎)、「社保協の自治体キャラバンで公立病院で も無低診の導入をと訴えたら、前向きな反応が複数あった」(石川)。
 福島・わたり病院の池田亜希子さん(事務)は、福島第一原発事故の影響で放射線量が高い地域の病院として、高圧洗浄や薬剤をつかった除染にとりくみ、結 果を公表する活動を報告。「はじめは何とかしなくてはと思う反面、放射能汚染が怖くて逃げ出したい気持ちも。でも、除染の一定の効果を見て、役立ったなら 良かったという気になりました。発表後は沢山声をかけていただき、嬉しかった。多くの方に福島の現状とこれからを見てもらいたいです」

「帰ったら行動する」

 二日目は、「健康権を確立し貧困問題の克服を」「超高齢社会に向けたまちづくり―あるべき 『地域包括ケア』の実現へ」「わたしたちのチーム医療について考える~あらためて民主的集団医療について~」の三つのセッションで、議論を深めました。貧 困問題のセッションに参加した櫻下美紀さん(前出)は、「普段は高齢者の相談が大半で、子どもの貧困にはピンとこなかったのですが、同じ病院の小児科の看 護師と一緒に参加し、歯がぼろぼろな子や、服が臭う子がいることを聞きました。帰ったらすぐに何か始めようと相談しているところです」と話し、本を何冊も 買い込んでいました。
 二日目の記念講演には、一橋大学名誉教授の渡辺治さんが登場。「貧困・格差を克服する新しい福祉国家をめざして」と題して、医療・介護の話を中心に、権 利としての社会保障が輝く日本をどのようにつくっていくか、具体的な提案とともに語りました。
 次回の学運交は北海道で開催されることが発表になり、二日間の日程を終えました。

(民医連新聞 第1512号 2011年11月21日)

リング1この記事を見た人はこんな記事も見ています。


お役立コンテンツ

▲ページTOPへ