民医連新聞

2007年10月15日

第三者機関 医療事故の再発防止・患者救済もとめて(3) 全日本民医連 第三者機関プロジェクト イギリスの第三者機関(1)

 全日本民医連の第三者機関プロジェクトは、〇六年一二月二~一〇日、東大法医学講座の調査に同行し、英国のコロナー制度(死因究明制度)や医療事故を取り扱う第三者機関を視察しました。二回にわたり報告します。

 NPSA(国家患者安全庁)はインシデントレポートの収集を行っています。レポート提出は、病院に義務づけられ、統一した様式で実施されています。職員に負担にならないよう、病院に報告したレポートは、自動的に国まで報告されるようになっています。
 内容は日本とあまり変わりませんが、全国統計があり、国家的に大規模調査と研究をしていることが強みです。
 警鐘的事例を分析しているCRSU(臨床安全調査部門)のビンセント教授は、教訓化・共有化は事故防止に有効と示唆しました。その一方、懲罰は「説明責 任を自覚させるには有効かもしれないが、再発予防には無効で、成功した国はない」と、指摘しました。
 Coroner’s Court(コロナー法廷)は、医療関連死を含む死因究明のための法廷です。どんな死亡を届け出るかは法で定められ、最近は医師の届け出が増えています。 「事実」を調査対象にしており、法的判断は行いません。ただし、法廷で明らかになった事実は、民事・刑事裁判に使われることがあります。調査過程で刑事的 対応が必要となった場合だけ、警察に必要な情報を提示します。
 NCEPOD(国家患者死亡調査会)によると、英国の年間死亡数は約五一万三〇〇〇人(人口の約一%)です。うち四五%がコロナーに届けられ、その五〇%が解剖されています。
 日本の行政解剖は全死亡の数%です。死因究明制度だけをみても日本は悲惨な状態です。

(民医連新聞 第1414号 2007年10月15日)

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