医療・福祉関係者のみなさま

2011年9月19日

かあさんの「ほのか」な幸せ~眠りっこ子育てetc.~ (8)「夢はかなえるものなのだ」の巻 その2 文:西村理佐

 心からの願いが叶えられる瞬間は、感動的な場面というよりは、にわかに信じられず、しばらく呆然としてしまうものだ。帆花を「どこかへ通わせたい」とい う3年越しの願いは、本当に急に叶うこととなった。帆花のように「超重症児」と呼ばれる子どもたちは、医療的ケアが必要なために通わせるところがない。そ んな中、休みなく世話をする家族の負担を鑑みて、超重症児を一時的に預かる、都道府県の「地域生活支援事業」としてできたのが「日中一時支援事業」だ。
 だが、医療的ケアの必要な子ども、とひと口に言っても一人ひとりの個別性は高く非常に手がかかり、自治体からの補助金も微々たるもので、事業としては超 不採算事業であり、結局、実際に行う事業所は全国的にも少ないのが現実である。そんな実態を知っているだけに、まさかこんな大変な事業に手を挙げる殊勝な 事業所がご近所にできるなんて、夢にも思っていなかったのである。
 わが家は、別件で訪問した役所の方が持ってきたチラシでこの事業所を知った。この事業所が開設して2カ月後のことである。「子どもを通わせたい」「その 間に休息したい」という超重症児の親のニーズは確かに存在する。だが、そのニーズとサービスがなかなか結びつかないという現状がある。なんともったいない 話だろう。聞けば、事業所所長さんが利用者開拓のために役所や保健所まわりをなさった時に、大半は「そっけない対応」で、時には「でもお母さんたちはお子 さんを手放さないと思いますよ」などと言われたというではないか。その言葉には、本当に悲しくなった。母親たちがどんな思いで24時間子どもと接している か、どんな願いがあって、どんな葛藤があって、そんなことを知ろうともせずに…。たまたま親切な担当者にあたったのでサービスにつながった、というのでは いけない。帆花と母さんは、この市内初の「日中一時支援事業」を利用し、より良いサービスにしていく使命があるのだ!

(民医連新聞 第1508号 2011年9月19日)

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