医療・福祉関係者のみなさま

2011年6月20日

平和を訴え80キロ激走 43人がピーチャリに初挑戦 京都民医連

 「ピーチャリ」を知っていますか? 平和を訴える自転車リレーの通称で、一七年前に北海道道東の仲間たちが始め、沖縄・奈良・長 野など一九県連に広がっています。今年初めて、府内縦走に挑戦した京都民医連の「ぴーちゃり&ピースランニング」に密着しました。(矢作史考記者)

 五月二一日朝七時、平和の願いを抱いた四三人が京都市の太子道診療所前に集まりました。二〇~六〇代の参加者はホノルルマラソンに参加したベテランから、普段は運動をしない「素人」まで幅広い層。大きな布にメッセージを書き、併走車に貼り付けました。
 八時に出発式。京都民医連会長の尾崎望実行委員長が「平和や核兵器廃絶を訴えるとともに、原発ダメ、の思いも伝えよう」とあいさつ。参加者の自転車はマ マチャリから、一二万円もする本格派までさまざま。
 いよいよ、背中に「9」の字を記したオレンジ色のTシャツ集団が診療所を出発。ぴーちゃりチームが走り出し、ランナーが続きます。京都市から綾部市まで八〇キロの長丁場です。
 一時間ほどで難所の老ノ坂峠に。ぴーちゃりチームが顔を歪めながら上ります。その数分後に、ランナーズが手を振りながら上っていきました。
 途中、大型スーパーマーケット前で、沖縄の高江ヘリパッド建設反対や核兵器廃絶の署名宣伝をしました。実行委員の山田沙希さん(紫野診療所、事務)が 「自転車やマラソンで走りながら平和をアピールしています。高江にヘリパッドをつくろうとしていることを知っていますか?」と訴えました。
 辻崎由加さん(吉祥院病院、看護師)は「歴史を学ぶ中で、私たちは戦争の被害者であり、加害者であるとも知りました。日本は原爆で放射能の怖さを知って いるはずなのに、原発があるのはおかしい」と。ランナーズの代表として、門祐輔医師(京都民医連第二中央病院)もマイクを握りました。
 宣伝のあとは再び難所の観音峠。ここを上りきると、下りは楽になります。順調に進んでいた矢先、トラブル発生! 自転車二台がパンク。さっそくスタンバ イしていた自転車修理班の田波英五郎さん(吉祥院病院、看護師)が格闘。一台は修理できたものの、もう一台は応急処置では足りず、危険な状態と「診断」 し、近くの自転車屋に「救急搬送」しました。
 走行中に沿道から反応が。「きつい時もあったけれど、畑作業をしているおばちゃんや、交番のおまわりさんが手をふってくれた」「応援してもらうとがんば ろうという気持ちになり、途中でやめられない」と参加者。休憩地点の道の駅「和(なごみ)」で、作業服を着たおじさんも「がんばれ」。道の駅を過ぎると、 ゴールの京都協立病院(綾部市)まであとちょっと。
 午後四時四五分、ぴーちゃりチームが全員そろって到着。先に着いたぴーちゃりチームが、両手を掲げてつくったアーチをくぐり、ランナーズが完走しました。
 一日目が終わり、参加者は疲労しながらも充実感が。みんなで銭湯へ行き汗を流しました。中村孝史さん(老健おおみや葵の郷、介護福祉士)は「観音峠が大 変で、上り切るのは無理と思った。でも、これを乗り越えたら何でもできそうだと。この思いを大事に、平和活動にとりくんでいきたい」。
 二日目は綾部市から舞鶴市まで三〇キロを走る予定でした。しかし出発直前、激しい雨で残念ながら中止に。代わりにこの日は学習会を開き、高江ヘリパッド のDVD鑑賞後、舞鶴引揚記念館や海上自衛隊舞鶴基地を見学しました。
 実行委員は「京都の南部から北部をつなぎ、平和をアピールしたい」と半年前から準備をしてきました。運営の中心でがんばった山田沙希さんは「カンパをも らったり、労組に協力してもらったり、多くの人に支えられました。大雨は残念でしたが、今度は綾部市など北部の職員にも参加してもらい、リベンジした い」。
 …環境にも優しいピーチャリ。みなさんも挑戦してみませんか?

ぴーちゃりのコース 太子道診療所→ローソン大枝沓掛店→アル・プラザ亀岡(大型スーパーマーケット、署名宣伝活動)→JR園部駅→道の駅「丹波マーケス」(ランチタイム)→道の駅「和」→京都協立病院

〈他県のとりくみ〉

震災で基地見学に変更

沖縄

 沖縄医療生協労組と沖縄民医連が共催し、三月一一日から一三日まで第一一回 「沖縄本島縦断自転車平和リレー」を企画、三〇人が参加しました。一一日は東日本大震災の影響で出発式のみ実施。一二日は明け方まで開催を検討しました が、津波警報が鳴りやまないために、やむなく中止に。「このまま、終わらせるわけにはいかない」と急きょ企画を変更し、一三日に基地平和ガイドを行いまし た。
 平和ガイドには北海道の道東勤医労から浅沼広樹さんも参加しました。浅沼さんは、「自転車リレーは残念だったが、沖縄の青年から基地問題を聞くことができて良かった」と満足していました。
 沖縄医療生協労組と道東勤医労の単組交流は一七年目です。六月一〇~一三日には、沖縄医療生協労組が北海道に行き、自転車リレーを行いながら、基地問題 や原発問題について話し合い、情報交換をしました。(安座間太一、沖縄医療生協労組)

平和と震災支援で30キロ

奈良

 四月二九日に三三人が参加、平和と震災支援を訴えながら三〇キロを走りました。横断幕に「震災支援」の文字を入れ、募金箱も用意。実行委員会は学習しながら準備し、お揃いのTシャツや宣伝のための風船、自転車につけるデコレーションも工夫しました。
 当日は気持ちの良い晴天。はじめに奈良市の中心部、近鉄奈良駅前で宣伝を行い、小グループに分かれ国道二四号を南下。休憩や交代をしながら、途中の駅で 宣伝をしました。多くの観光客の目も引き、「がんばって」と募金をいただくこともありました。ゴールの大和高田駅では、復興と平和の祈りを込めてバルーン リリースで締めくくりました。事故もなく無事に平和のアピールをすることができました。(徳永桂、奈良民医連)

(民医連新聞 第1502号 2011年6月20日)

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