医療・福祉関係者のみなさま

2011年4月4日

首都圏 停電で自治体東電に要請 “医療機関は停電除外し、燃料・ガソリンを”

 大震災の影響で、首都圏の医療機関なども停電、ガソリンや燃料軽油不足の対応に追われています。患者・利用者を守る工夫をしながら行政に働きかけています。

電源車は来たが…

 神奈川県横浜市にある汐田総合病院(二四九床)。救急車を月二〇〇件受け入れ、市の救急体制の一員です。自家発電機はあるが小さく、停電の発表時に燃料の備蓄は三時間分。一五日、県と市に「電源車の配置、軽油の確保、停電からの除外」を要請しました。
 県の担当者の話では「電源車は県内に一四台しかない。変電設備の二〇メートル以内でしか使えない。軽油はタンクローリーで運ぶ」とのこと。患者への深刻 な影響を訴え、電源車が配置されましたが、供給量が少なく、診療を制限せざるを得ない状況です。同院では「困っている。内視鏡や予約検査もできない」と話 しています(二五日現在)。
 川崎協同病院(二六七床)でも、自家発電機を大地震発生時に稼働させたため、一三日夜の時点で燃料の残量は四~五時間分でした。急きょ、職員が泊まり込 みでガソリンスタンド数十軒に問い合わせ、翌日ドラム缶四本分を確保しました。
 被災地から透析患者を受け入れたため、水道水を透析液に変換する機器を購入。当初の停電では透析時間を三〇分短縮するなどしました。東電と県に申し入れ た結果「救急告示医療機関なので、計画停電を行わない」と連絡がありました。

在宅…バッテリー必須

 東京都日野市にある、ひのだい訪問看護ステーション。看護師・酒井薫さんは 「停電の連絡があったのが一三日の夜九時過ぎ。夜中までかかって全患者に連絡し、翌月曜日には臨時で訪問しました」と。利用者は八〇人ほど。在宅酸素療法 の患者七人には、停電前に酸素ボンベに切り替えるよう手配しました。
 問題は吸引器。バッテリー付きの製品が高価で、バッテリーなしの製品しか持っていない人もいます。三時間おきに吸痰が必要な患者には、注射筒で吸痰する ため臨時訪問することに。その後、バッテリー付きの予備を持つ患者間で融通し合ってもいます。
 同ステーションでは地震発生時、マニュアルにそって緊急訪問しました。揺れで不安になっていたのが独居の高齢者。パニックになっていた認知症の人もいま した。電話がつながらない中、顔を見せ励ましました。
 給油に並ぶ時間がないので、訪問は車を控え自転車、徒歩で。「医療用車両の給油は優先させてほしい。非常時に備えていたつもりだったが、万全でない。と くに酸素発生器(テイジン製)は内蔵バッテリー装着型のものを開発すべき。酸素ボンベは不足です」と酒井さんは話しました。

保育も課題に

 埼玉民医連でも停電が実施された熊谷生協病院と秩父生協病院で、自家発電装置の燃料が不足。停電地域に入らない埼玉協同病院から軽油を運びました。
 高橋正己さん(本部総務部次長)は「保育園が休園し小さな子のいる職員が安心して働けない状態も生じている。訪問看護やデイサービスの送迎にもガソリンの安定供給は欠かせない」と話します。
 同県連と医療生協さいたまでは一六日、埼玉県に対し要望書を提出しました。(1)病院などが自家発電機を稼働できる燃料の確保、(2)在宅で人工呼吸器 など機器を使用している患者の電源(バッテリーなど)確保、(3)医療従事者の保育などの確保、(4)訪問看護や往診、通所サービス車両のガソリン確保、 (5)停電時の救急搬送の調整、(6)被災地支援への便宜、などに県としての対策を求める内容です。
 東京民医連も、東京都に対し、(1)医療機関、介護事業所への優先給油、(2)計画停電から医療機関を外すこと、を要望しました。

「被災は天罰」発言

石原都知事に抗議

 石原氏は14日、「日本人のアイデンティティーは我欲になった。 この津波を利用して我欲を洗い落とす必要がある。やっぱり天罰だと思う」と発言。被災者や日夜救援に携わる人びとの気持ちを踏みにじる「我欲知事」の姿勢 であり、災害対策を「自己責任」にしてしまった石原都政を端的に示す暴言です。
 東京民医連は3月16日、抗議声明を都庁に送付しました。

(民医連新聞 第1497号 2011年4月4日)

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