民医連新聞

2007年4月16日

薬害肝炎訴訟 東京も勝訴 国と企業(旧ミドリ十字など)の責任で救済を

 三月二三日、東京地裁で薬害肝炎訴訟の判決が出ました。昨年六月の大阪、八月の福岡に続き、国と企業(三菱ウエルファーマ=旧ミドリ十字など)の責任を 明確にしました。原告二一人中一三人の損害賠償請求を認め、第IX因子製剤(クリスマシン・PPSB―ニチヤク)についての責任も初めて認めました。薬害 肝炎全国原告団と弁護団、支援者らは、判決の前日に集会を行い、アピールを出しました。判決後は、早期全面解決を求めて厚生労働省前で座り込みました。

薬害を二度と起こさないで

 判決前日の二二日、原告や支援者ら五〇〇人は「肝炎患者三五〇万人のねがい」というつどいを東京・池袋で開きました。
 病気とたたかい、高額な治療費負担と社会からの偏見や差別に苦しむ原告らは「国や製薬会社の危険な薬を使い続けた責任は明らか。罪を認めて患者を救済 し、治療体制を充実してほしい」「失われた人生を取り戻したい。健康な人と同じ人生を送りたい」「何度もくり返してきた薬害を、もう二度と起こさないで」 と訴えました。
 出産時に止血剤としてフィブリノゲン製薬を投与された女性は、急性肝炎を発症しました。倦怠感で家事や仕事ができず、苦しい毎日を送ります。会場では「命が続く限り訴え続ける」と語りました。
 新生児のとき、手術で血液製剤を投与され、C型肝炎ウイルスに感染した男性は、大学の健康診断で始めて感染を知らされました。教師になる夢も採用試験の 健康診断「不合格」で消えました。「日常生活で感染することはないのに社会の理解は乏しい」と訴えました。

すべての患者に治療と支援を

 日本のウイルス性肝炎患者は約三五〇万人。カルテがなく、投薬の証明がとれず、原告になれない人も多数います。そんな中、患者をささえる動きが広がっています。オレンジハンカチメッセージは、一万枚を超え、その一部が会場で紹介されました。
 藤竿伊知郎さん(東京・薬剤師)は、「裁判だけでは救済できない。政治を変え、治療や支援の体制を整備することが解決の目標。医療従事者として、被害者に寄り添って運動したい」と話しました。

 「薬害肝炎訴訟を支える会・全国ネット」は、被告企業への不買運動を呼びかけています。全日本民医連もこれに賛同を決め、各県に通知しました。

(民医連新聞 第1402号 2007年4月16日)

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