副作用モニター情報〈266〉 イベルメクチン(寄生虫駆除剤)による貧血
イベルメクチン製剤「ストロメクトール錠」による貧血の副作用が報告されました。
報告では、6mgを1回目から2週間おいて2回目を投与。その2日後の血清ヘモグロビン値は10.0g/dLでした。12日後には5.8g/dLまでに 低下。輸血を行うと11.4g/dLに回復しました。BUN値が35g/dL、血清クレアチニン値が2.1g/dLなので腎性貧血もあったと考えられますが、出血・溶血がなく、進行が急激であり、本剤の副作用と考えるのが妥当だと思います。
動物実験で肝クッパー細胞の色素沈着と脾臓肥大が認められています。ここに鉄が取り込まれたため造血器への鉄の供給が減少、腎性貧血も加わり貧血が表面 化したと推測します。10日間に溶血性貧血を起こした可能性も否定できません。
脂溶性で、体内に長くとどまるため、1回目の投与ですでに影響が出ていたようです。ほかにプロトロンビン時間延長の副作用も知られて、4週間持続したとの報告があります。
適応症に疥癬が追加されたので、病院だけでなく、老人保健施設などの高齢者施設で使用されると予想されます。本剤を投与される際は、血液検査を意識的にして下さい。
(民医連新聞 第1402号 2007年4月16日)
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