医療・福祉関係者のみなさま

2010年1月4日

キラリ民医連の医療・介護 難病患者の代弁者として多職種・事業所に働きかけ改善 秋田・中通(なかどおり)訪問看護ステーション 鎌田津賀子(看護師)

Aさんは五〇代女性で、筋緊張性ジストロフィーと慢性呼吸不全です。離婚後、母親と同居し、生活保護と障害者自立支援法による制度を併用して生活してい ます。三〇代から腸閉塞を繰り返し、五〇歳で在宅酸素療法を開始しました。三年前に母親が脳出血で死亡しましたが、その後も希望して、一人で暮らしていま す。サービス提供は障害者自立支援法のもとに自立支援相談員(以下相談員)が支援計画を立てています。
 訪問開始時の生活環境は、二間のアパートで、入るとすぐ療養室で介護用ベッドがあり、奥の部屋は物置状態で、トイレは使えず、ガスは止められていまし た。ADLもよくなく下肢筋力低下がすすみ、自宅ではベッド上の生活です。移乗動作は全介助で、尿便ともにオムツを使用しています。食事は三食ともに配食 弁当で、スプーンを使って自力摂取可能です。
 当ステーションが訪問を始めたのは、Aさんが利用していたステーションが閉鎖したためです。〇七年一〇月に引き継ぎました。訪問は火・木曜日で、昼食支 援、一般状態のチェックとおむつ交換が中心でした。排便困難と腹痛があり、そのつど手当てしましたが、以前から腸閉塞を繰り返している経過があるので問題 点を整理し、相談員に申し入れました。(1)排便間隔が調整されていない、(2)食事が配食弁当なので病状からみて問題がある、(3)療養環境が劣悪で不 衛生の三点です。
 排便については間隔を均一にするため、訪問日を火・金曜に変更、浣腸と摘便を行いました。病院には緩下剤処方を依頼し、ヘルパーには訪問時の便処理、デ イサービス利用時にはトイレ誘導をお願いし、現在はほぼ毎日排便があり、腹部症状も改善しています。
 食事は弁当ではなく、Aさんに合わせてヘルパーが調理するほうがよいと考え、申し入れました。ガスの供給とコンロが設置され、調理環境が整えられ、食事づくりが実現しました。
 療養環境は不用品の廃棄、清掃方法の改善、室内の温度調整(カーテン・エアコンの設置)を相談員やヘルパーに提案を繰り返し改善できました。
 私たちは基本的人権が守られていないことに疑問を感じ、本人の代弁者となり何度も相談員や事業所に働きかけました。現在は生活環境も改善され、本人自身も意思や希望を表出するという変化が見られるようになりました。

(民医連新聞 第1467号 2010年1月4日)

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