いのちと人権を守る

2009年7月6日

B型肝炎患者救済を ただちに最高裁判決生かせ

 「B型肝炎ウイルスに感染したのは、幼少時の集団予防接種が原因」として患者五人が国に賠償を求めた訴訟で、最高裁は「国の責任」を認め原告が勝訴(〇 六年六月)。しかし三年が経過した今も、国は一二〇万人いるB型肝炎患者に何の救済措置もとっていません。患者と支援者たちは五月二七日、集会を開き、国 の姿勢を問い、すでに始まっている新たな訴訟への支援を訴えました。
 会場には患者・原告、弁護団、支援者など約二〇〇人が参加しました。
 特別講演は「B型肝炎を克服して」と題して歌手の石川ひとみさん。B型肝炎患者として苦しんだ闘病生活や、心ない周囲の差別などの体験を語りました。
 新たな訴訟は〇八年五月に始まり、九地裁で二八五人の原告がたたかっています(〇九年三月・第五次)。
 各原告団を代表して五人が発言しました。北海道の三〇代の男性は「一八歳のとき献血で発見された。訴訟のため診断書を取りに行き、医師から肝硬変に進行 していると説明され、ショックを受けた。裁判に勝ち早く治療に専念したい」。
 広島の男性は「二〇年前から治療中。肝硬変を経ないでいきなり肝がんになり、再発を繰り返している。厚労省に言いたい。私の肝臓を元に戻せと」。
 B型肝炎は血液を介して感染し、輸血や母子感染など原因も限定的です。集団予防接種での注射器使い回しが感染を広げたことは疑いありません。
 全国弁護団長の佐藤哲之弁護士は「最高裁判決は国を加害者と認めた。しかし政府は、原告に謝罪もせず、実態調査もしない。司法を無視している」と厳しく指摘しました。
 集会では、国に直ちに、(1)全被害者に謝罪し、被害回復措置をとること、(2)「肝炎患者支援法」を制定し、すべてのウイルス性肝炎患者の治療を保障すること、を求めアピールを採択しました。
 最初のB型肝炎訴訟は、一七年前。北海道民医連の医師たちが「集団予防接種が原因」と明らかにして支援、勝利判決を導きました。しかし国は、「判決は原告五人の個別救済に限られる」という態度です。
 原告・弁護団は、全国に向け署名やカンパなどの支援も訴えています。

(民医連新聞 第1455号 2009年7月6日)

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