民医連新聞

2009年5月18日

フォーカス 私たちの実践 “卒煙”指導に力を入れる 福井・たけふ生協歯科診療所 “喫煙者は歯周病が重い” 調査結果もとに禁煙サポート

 福井・たけふ生協歯科診療所では「喫煙と歯周病」について調査、また医科の禁煙外来からも学び、歯周病の患者に禁煙をすすめています。歯科衛生士の谷口由紀さんが、第一八回歯科学術運動交流集会で発表しました。

どの年代層も喫煙が悪影響

shinbun_1452_01 禁煙や分煙が広がる中でも、女性や未成年の喫煙は増えています。当歯科診療所でも、これまで「喫煙は口腔内に悪影響を及ぼす」と患者に知らせてきましたが、なかなか喫煙者は減りません。そこで受診者を対象に、喫煙者と非喫煙者の歯周病の進行度を比較調査しました。
 その結果、全年代で「喫煙者は歯周病の程度が重い」という傾向が見られました。喫煙者に重症が多く、非喫煙者は軽症が多いのです。(棒グラフ)。
 調査対象は〇八年四月に受診し、歯周病の治療を行った患者です。全員に喫煙の有無を質問しました。そのとき喫煙者には、パンフを渡し説明しました。ま た、各人の歯周検査結果を点数化し、「パーセンタイル曲線」でランク付けしました(折れ線グラフ)。
 パーセンタイル曲線とは、自分の残存歯と歯周病の程度が、同年齢の一〇〇人の中で良い方から何番目かがわかる簡単な図表です。今後の進行の予測もでき、対策を立てることができます。

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保険きく禁煙外来は条件つき

 また、医科の禁煙外来のとりくみを担当看護師から学び、歯科で取り入れることにしました。禁煙外来の対象は、(1)一日喫煙本数×喫煙年数=二〇〇以上の人、(2)スクリーニングテストでニコチン依存症と診断された人、(3)直ちに禁煙を希望している人です。
 禁煙の意思があっても、すべてに当てはまらない場合、健康保険で禁煙外来を受診することができません。
 禁煙外来では、初診で「禁煙開始日」を設定し、禁煙開始から二週後、六週後、一〇週後に再診して「禁煙の成功・失敗」を社会保険事務所に報告します。ニ コチンパッチは保険適用ですが、ニコチンガムは自費です。失敗した場合でも一年間は保険適用がされません。

禁煙への意識づくり大切

 こういう事情から、禁煙の意思があっても受診しない人、禁煙の意思をもてない人が多いことがわかりました。また若年層は喫煙期間が短いため、対象外になってしまいます。看護師からは「何よりも、禁煙の実行と継続に向けた意識づくりが大切」というアドバイスを受けました。
 そこで当歯科では、「タバコをやめれば歯周病が改善する」という情報をもっと広め、禁煙したい患者さん、禁煙中の患者さんをサポートすることにしまし た。各ユニットに「禁煙しましょう」のチラシを置き、必要な人には何度も声かけするようにしています。

(民医連新聞 第1452号 2009年5月18日)

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