民医連新聞

2006年7月3日

フォーカス医療・福祉の実践(4) 多職種連携でNST活動 病院全体で考える病院食

 京都民医連中央病院では、二〇〇四年八月、吉中丈志院長の「栄養はすべての治療の基本」、「質の高い栄養療法で患者様をささえよう」という 呼びかけで、NST(栄養サポートチーム)を立ち上げました。医師や薬剤師、看護師、臨床検査技師、言語療法士、事務、栄養士の一三人が参加し、活動を始 めました。栄養士の福山智子さんの報告です。

 立ち上げ初日、元聖隷三方原病院の川西秀徳医師を講師に招き、学習会と実際にラウンドを行いました。そこで川西 医師から、「爪や皮ふは? 髪の毛は? カロリーは? 水分は?」、厳しい質問が続きました。参加したメンバーは、これから始まる新しい仕事に緊張と期待 を感じました。
 NSTは、毎週水曜日を活動日とし、ミーティングとラウンドを隔週で行っています。ミーティングは、ラウンドの報告や対象者の確認、NSTニュースの内容を検討、学習などを行います。
 ラウンドは一時間で約五人の患者様を訪問します。診察も行い、栄養状態、口腔内をチェックします。当初は、じょく瘡や感染症の患者様がほとんどでした が、現在は多職種からの依頼により対象者を決めています。ラウンドの前日には、カンファレンスを行います。

栄養改善に効果

 NST導入後、さまざまな変化が現れました。その一つは、患者様の栄養管理の改善です。多職種が患者様にかかわ ることで、アセスメントが充実し、中心静脈栄養から経腸栄養になるケースが増えてきました。口腔ケアにとりくんだことにより、誤嚥性肺炎の減少にもつな がっています。
 もう一つは、各部門や各チームの連携が深まったことです。一三人で始まったNSTも二六人に増え、毎週のミーティングやラウンドで、お互いの業務の理解 が深まりました。最近では、研修医・医師や看護師、薬剤師からの相談や来室も増え、病棟カンファレンスでも「栄養課に相談しよう」との声も聞くようになり ました。
 退院後の食事について在宅部門と懇談したり、じょく瘡・感染対策チームと連携して、栄養改善の効果を確認しています。
 栄養士業務も大きく変化しました。三人の栄養士は積極的に病棟に足を運び、身体測定や喫食・嗜好調査を行ってます。何度も患者様と接することで、状態を 知ることができ、病院食の提案や食事せんの見直しも始めました。

*  *

 〇五年一〇月に「NST稼動施設」認定、〇六年四月から「栄養管理実施加算」の届け出ができました。一方で、栄養食品や補助飲料、ゼリーなど、現状にプラスして使用するため、価格交渉していますが材料費は上昇するという悩みも残されています。
 NSTを通して、病院全体で考えるチーム医療の実践に確信ができ、栄養士もチーム医療の一員として、風通しのよい病院づくりをめざし、がんばります。

(民医連新聞 第1383号 2006年7月3日)

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