民医連新聞

2009年1月5日

輝く民医連の看護・介護 精神疾患の患者を地域でケア会議で情報の共有 宮城・しおかぜヘルパーステーション 伊勢淳子(保健師)

五〇代の浩さん(仮名)は、二〇代で統合失調症を発症し、入院を拒否したまま、長く引きこもりの生活をしてきました。一九九〇年ごろから、同居の父(現・八〇代)に認知症がみられ、近隣とのトラブルもあり、民生委員が訪問しましたが追い返され、関わりが困難でした。
 浩さんも五年ほど前から症状が悪化、外でゴミを燃やすなど、おかしな言動が現れました。医療保護入院し、退院後は当ステーション(ST)が関わり、生活を支援しています。
 地域の中で、浩さん親子をささえるため多くの機関や施設が関わっています。そのために、情報の共有がカギになります。浩さんと父、社会福祉事務所、病院 のケースワーカーと担当看護師、父の介護ヘルパーST、浩さんが通う作業所、当STが定期的に「地域ケースケア会議」を開き、様子や状態を出し合い、支援 方法を検討しています。
 また「申し送りノート」を活用、電話でも連絡を取り合っています。
 当STでは浩さんに関して、スケジュールやルール変更はなるべくしないと決めました。変える時は何度も説明し、約束してからにしています。また関係者が 違う対応をしないように連絡を取り、浩さんを混乱させないようにしています。
 また、浩さんのこだわりを知り、話をよく聞いて、わかりやすい指示を出すことを心がけています。
 その結果、浩さんは少しずつ安定し、いまの生活が継続できています。
 しかし地域には、精神疾患に対応できるヘルパーSTが少ないこと、また患者との関係づくりや地域連携に大きなエネルギーが必要にも関わらず、報酬が低いことも大きな問題です。
 その問題を提起しながら、浩さんなど精神障害を持つ人たちの「自宅で過ごしたい」という思いを受けとめ、苦手な、人や社会との交流が少しずつできるようささえていきたいと思います。

(民医連新聞 第1443号 2009年1月5日)

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