民医連新聞

2009年1月5日

輝く民医連の看護・介護 病棟・リハスタッフが連携しやる気引き出し、自立を支援 長野中央病院 中島章子(看護師)

 当院のリハビリ病棟では、中心性頸髄損傷の患者さんが増えています。
 七〇代の太朗さん(仮名)は一〇年前に転倒、頸椎症で四〇日間入院しました。近年になり、みそ汁をこぼしたり、字が書けなくなるなど、上肢の筋力低下を感じていた中、〇七年四月に玄関先で転倒しました。
 中心性頸髄損傷で手術を受け、経過は順調。五月にリハビリ目的で当院に転院してきました。転院当初はスプーンが握れず、手が口まで届きませんでした。ま たズボンの上げ下げができず、ナースコールも押せない状態でした。
 食事と排泄の自立は、生きていくうえで最低限必要です。少しでも自立できるよう、介護士とリハビリスタッフが連携して、自立に向けての支援が始まりまし た。リハビリの一方、食事と排泄の自立支援のための道具を考えました。
 食事では、手に自助具をつけて食べられるように訓練しました。しかし、太朗さんは、なかなかうまく使えず、イライラしていることも。そのたびに、病棟ス タッフからリハビリスタッフに連絡。リハビリスタッフは状態を聞き、自助具の改善を重ねました。
 排泄の支援では、介護スタッフ考案の安楽尿器を試しました。また家族にズボンの前部分を、大きく開き排尿しやすいように改良してもらいました。
 本人の努力、スタッフや家族との連携の結果、自分で食事と排泄ができるようになり、同年九月に退院できました。
 リハビリは、患者さん本人の意欲が重要です。私たちスタッフには、患者さんのやる気を維持させるためにも二四時間の観察と気づきが欠かせません。
 太朗さんの場合は、うまくいかなくて苛立つ気持ちをスタッフと家族の精神的な支援で乗り越え、順調に退院まですすむことができました。
 今後、これらの疾患は増えると思います。しかも同じような病状でも、認知障害やうつ症状、家族の協力がない、本人が意欲的ではない場合も考えられます。 どんな患者さんでも、それぞれに適した自立支援ができるよう、スタッフ間の連携をより強化していきたいと思います。

(民医連新聞 第1443号 2009年1月5日)

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