民医連新聞

2006年4月3日

「ただちに再改定を」診療報酬改悪で厚労省交渉 全日本民医連

二〇〇六年の診療報酬改定は、マイナス三・一六%にとどまりません。医療療養病床ではマイナス二〇~三〇%にも。全日本民医連は、この問題で三月一四日、緊急に厚生労働省と交渉。肥田泰会長、長瀬文雄事務局長はじめ、一六人が参加しました。

 今回は要求項目を以下に絞って交渉しました。(1)慢性期入院の医療区分の七月実施を凍結すること、特殊疾患加算の算定を継続すること、(2)老人性認 知症疾患治療病棟に関する改善を行うこと、(3)急性期・一般病床の入院料改善を早急に行うこと、夜勤看護加算を再算定できるようにすること。

 まず長瀬事務局長が、公表された改定率(▲三・一六)より実際の影響が大きいことを指摘し、改定率の積算根拠を示すよう求めました。

 担当官は「国民医療費で約八五〇〇億円、診療報酬で約三五〇〇億円を削減する予算に合わせて改定した。実際の積算は調べて報告する」と即答できず、改定の本質が医療費削減であることを示しました。

 参加者は実情を提示し、要求の妥当性を訴えました。みさと協立病院の生田利夫医師は、「脳血管障害で経管栄養を受ける患者さんは『医療区分1』の低い医 療度になる。こういう患者は行き場がなくなる」と話し、慢性期入院の医療区分を七月から実施するのは無謀だと指摘しました。

 認知症専門の岡山・ひだまりの里病院(一八〇床)の岩崎ゆう子事務長は、「老人性認知症疾患治療病棟の『入院料1』は一〇点上がるが、看護師の配置基準 が一・五倍になるため、看護師五人を増員しなければならない。増点分ではできない。『入院料2』は一〇〇点の引き下げ。病床維持が困難になり、認知症患者 の入院がピンチになる」と抗議しました。担当官は「療養病床から退院した患者がすべて在宅で受けられるとは考えていない。方向性を示したもの」と言わざる を得ませんでした。

 新設された看護基準「1・4対1」が病院単位に対して、「病棟単位と思っている病院もある。基準をクリアできるのは何病院あるのか。特定機能病院でも現 状は一つしかないと聞く」との質問にも、「今は答えられない」と返答。基準設定の甘さも露呈しました。

 肥田会長は、「今回の改定は地域医療を壊すもの。医療機関にとっても、患者にとっても死活問題だ。金のない人は野たれ死にしろ、経営の立ちゆかない病院 は倒産しろという政策だ。医療者と患者の声を無視している。いままで療養型を推進しておきながら、削減計画を出してくるなどフェアでない。今日の内容を保 険局トップに伝え、直ちに再改定しなさい」と求めました。全日本民医連は、厚労省交渉を引き続き行います。

(民医連新聞 第1377号 2006年4月3日)

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