民医連新聞

2006年4月3日

フォーカス医療・福祉の実践(1) TQM(トータル・クオリティ・マネジメント)手法を使い仕事の改善楽しく 福岡・千鳥橋病院

 医療倫理のほか、チームや職場ですすめる医療・福祉の質向上の活動を交流する紙面です。投稿歓迎。


 一回目は、福岡・千鳥橋病院の「TQM活動を通した医療の質向上のとりくみ」です。この発表で堀江詩子さん(事務)は第六回民医連表彰を受けました。

 当院は、二〇〇四年三月に病院機能評価を受審しました。一年半をかけ、全職員が一丸となって「医療の質向上」という目標にとりくみ、やりがいを実感しました。

 職員の確信となり、元気の源になったこの活動を継続、発展させたい。そこで、TQM※という手法を用い、チームごとに目標を決め、とりくみ成果を発表し、評価しあう、「医療の質向上交流発表集会」にとりくみました。

多職種でチームを構成

 二〇〇四年九月、副院長を先頭に実行委員会を立ち上げました。自主的に任意のメンバーでチームを作り、チーム名・テーマ・目標を決めて登録することを呼 びかけました。チームの編成は三~十数人とし、日ごろのコミュニケーション不足を乗り越えるため多職種で構成し、また各チームにコンサルトDrを置きまし た。最終的に四八チーム、全職員の六五%に当たる三二六人が登録しました。

 一一月、キックオフ集会を開きました。全チームがパワーポイントを使って、一分間「がんばります表明」をしました。

 その後の二カ月間を「質の向上月間」に設定、実行委員会はニュースで各チームの様子を紹介し、進行状況を表にして把握し、運動を促進しました。院内では チームの話題が飛び交い、メンバーが自主的に時間外に集まるなど、チーム活動が活発になりました。

患者家族も喜んで

 二〇〇五年一月、集会当日を迎えました(写真左上)。約二五〇人が参加し、チームの発表を聞きました。そして、参加者全員が投票し、友の会の方を含めた 一二人の審査員の評価で、最優秀賞など一三の賞を決定しました。審査基準は「患者様にとっての質向上」としました。

 最優秀賞は、栄養科のメンバーが中心となった「極訓(ごっくん)パッ」チーム。患者さんに口から食べる楽しさを味わってもらうとりくみでした。

 意思疎通が困難で、拘縮(こうしゅく)の激しい寝たきりの患者様にすてきな服を作ろうととりくんだ「It,sコーディネート」チームは優秀賞でした。参加してもらった家族からも感謝され、職員の心に響く発表でした。

コミュニケーション促進

 このとりくみの成果は、チームで立てた「質向上」の目標を達成できたことです。職種の専門性が発揮され、コミュニケーションがすすみ、職員が元気になり ました。何よりも当院を良い病院にしたい、良い医療活動をしたい、という思いを職員も共同組織も共有できました。

 昨年一一月には第二回の集会を「輝いて3C! Challenge・Change・Communication」のテーマで開きました。第一回目の登録 チームが、三分の一は継続して、さらなる質向上にとりくみました。当日はよりバージョンアップして、連携している地域の医療機関にも呼びかけ、一二病院二 〇人の参加がありました。全体では四六チーム三九一人が発表し、全職場から三五〇人の参加で大成功しました。

 五月には第三回の集会に向けてチーム登録がはじまります。これからも地域に民医連の医療活動をアピールし、全職員で「医療の質向上」にとりくんでいきたいです。


※TQM…Total Quality Managementの略。組織全体で製品やサービスの品質を、継続的に向上させる活動のこと。チームで、品質向上にとりくむ。

(民医連新聞 第1377号 2006年4月3日)

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