民医連新聞

2005年12月19日

看護もっと輝きたいの (7)始まる模索

大病院や急性期病棟を中心に、離職が問題になっていますが、その原因の一つに「看護の感動を感じきれないこと」という指摘があります。いま「看護の仕事によろこびを」とのとりくみがはじまっています。

(横山健記者)

若手看護師が主役になれる場つくって
東京民医連

 「看護から離れたい…」、そういって辞めていく若い看護師たちが増えています。「彼女たちを見ていると、看護に対するよろこびや感動が少ないように感じます」と、柳原病院・看護師の江部真弓さん。東京民医連・看護研究集会の実行委員をしています。

 「患者さまが歩けるようになった」というと簡単に聞こえます。しかし、私たちの看護で歩けるようになったんです。しかし若手看護師の感動は小さく、むしろ「もっとこんな看護ができたはず」と後悔の言葉が目立ちます。謙虚ではなく、自信がもてないのだと思います。

 実行委員会でも、「若手看護師が主役になれる場を」という提案がありました。普段はあまり発言しない若手も、看護に対する情熱や想いをしっかりもっていると感じていました。そこで議論を重ね、研究集会では「若手看護師のとりくみ」というテーマの分科会を設けました。

くやし涙を流しつつ

 分科会では、意見が出やすいように円卓に、発表も座ったままで行いました。

 発表では、医療拒否で看護師に強く当たる患者さまの事例が出されました。罵倒されながら「かかわりたくない」という気持ちをおさえ、どうすればいいかを悩み、できるケアを探しました。発表の途中、「もっといい看護したかった」と、くやし涙も。

 参加者からは、「向きあう姿勢は素晴らしい。きっと患者さまにも伝わってる。病棟で語り継いでほしい」などの意 見が出ました。発表した若手看護師も「自信がもてた。後ろめたい気持ちもあったが、この経験を次に生かしたい」と前向きな意見をのべました。発表は若手だ けではなく、中堅看護師たちも励ますものでした。

 「日々のなかで、業務に追われて、本当はすばらしい経験なのに当たり前になってしまい、よろこびや感動がなく なっていきます。『私たちはこんなにすばらしい看護を行っているんだ!』と、発表しあい、率直な意見交換をする機会をもつことは育成や職場づくりに大切な ことです」と江部さん。

若手も中堅も自信に「看護の輝きニュース」
山口民医連

 「苦情ばかりで元気も出ない」…と病棟メンバーの声。宇部協立病院・総師長の三藤美智子さんは「毎日、外来や病棟では、『協立病院ならなんとかしてくれる』と頼りにされ、そして患者さまから『ありがとう』と感謝されている。もっと自信をもって」と話します。

 山口民医連の看護委員会では月一回の会議で、看護師のがんばっている事例を報告しあい、「看護の輝きニュース」を発行することにしました。

 入院中の患者家族の、「看護師さんが懸命に食事介助してくれています。ただ感謝の気持ちでいっぱい」という報告が紙面にあふれます。

 「若手だけではなく、中堅の看護師さんたちも自分の看護に悩んでいます。『がんばっている、自信をもって』というニュースを」と三藤さん。

 ニュースは職員だけではなく、委員会メンバーを通して組合員さんにも渡ります。「看護師さんたちは、そんなにがんばっているのか」と、賞賛と励ましの声があがりました。

 「看護が充実すれば、できる仕事も広がり、医師を確保し励ますことにつながります。患者さまからも頼りにされます」。

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(民医連新聞 第1370号 2005年12月19日)

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