民医連新聞

2005年9月19日

私もいっしょに研修したい 魅力は元気な青年医師 中低学年奨学生3人迎えた 沖縄民医連

 「医学生と語り、中低学年の奨学生をふやそう」。大運動のなか各地で、医学生と民医連を結ぶ、たくさんの物語が生まれています。沖縄民医連は三人 の奨学生を迎えました(八月末現在)。つながりを深め、とことん語り、日ごろの活動が実った結果に、「もう数人ふやしたい」と元気です。(編集部)

 新しい奨学生も迎えて、奨学生合宿(サマーキャンプ)が行われました。場所は離島・久米島。那覇から約一〇〇キ ロ西、美しい海に囲まれたキャンプに最適の島です。しかしここでは、公立久米島病院が医師体制の困難に直面していました。存続のために、沖縄協同病院はじ め「群星(むりぶし)沖縄」 ※ に参加する病院が、医師派遣で協力するような事態です。

 合宿のテーマは「離島医療を考える」。住民の講演を聴いた学生から「そんなにたいへんなのか」と驚きの声があがりました。

 「興味を持ったようだ。困っている住民に応えるのは医療人として当然のこと。そういう民医連に共感もしてくれた」。合宿に参加した山城惟欣医師(同県医学生委員長)はいいます。「奨学生に民医連の活動や姿勢を伝えることは、ますます大切です」。

気軽に呼びかけよう

 「大運動」アピールの「幹部を先頭に」を受け、県連会長を本部長にし、体制をつくりました。

 「それには繰り返し議論した」と山城医師は明かします。

 「中低学年の奨学生をふやすのは難しい…」「五・六年生の対応で忙しいこの時期にやるの?」という意見があり、 問題提起をもう一度じっくり読み、「決意してもらえるかどうかにガチガチにこだわるのでなく、気軽に足を踏み出し、民医連を知ってもらう方向で、幅広く学 生に声をかけよう」との結論になりました。そして、「医師、奨学生、組合員さんなどから対象者を紹介してもらう」「つながりのある学生全員に働きかける」 を柱にしました。

つながりが生きた

 新しい奨学生三人のエピソードを、比嘉勉さん(県連事務局次長)に聞きました。

 地元の琉大三年生は、研修委員長の仲程正哲医師の紹介でした。子どもがやっていた野球の「父母会」で、親同士知り合い。

 東京出身の琉大四年生は、一年生のとき新歓の企画「戦跡めぐり」に参加して民医連を知り、学習企画にも継続的に参加していました。青年医師・尾辻健太さんの人間味ある話に共感し、話は深夜におよんだそうです。

 久米島出身の一年生は、定年退職後、地域で開業しているもと職員の新垣繁信歯科医師の紹介でした。新垣歯科医師と彼女の父親は、かつて「久米島に病院をつくろう」と、ともに運動した仲でした。

友人のような目線で

 付き合いのある学生六〇人余に、今回もメールなどで説明会の案内をしました。

 彼らとは、春夏の実習やさまざまな学習企画で関係を築いてきました。救急蘇生の学習が好評でした。琉大には定例で実習にくるサークルもあります。

 中低学年の学生たちの目を引くのは、二〇人の研修医の姿です。往診先で患者さんにやさしく接し、見学の学生にも ていねいに説明します。元気で生きいきし、仲も良い。病院のエイサー同好会、三線(さんしん)同好会で、他職種ともふれ合い、週一回ひらく研修医会でよく 話し合うという研修医。

 山城医師は、「友人のような目線で学生に話しかけている。学生はみんな『自分もいっしょにやりたい』という。研修医や若手医師には、語り好きもいて、懇親会ですんなり学生と友だちになってしまう」と頼もしげに語りました。

 病院を見てもらうことは、奨学生の親にも説得力があります。「今回、奨学生になった三年生の母親は、看護師をしている人で、『よい病院ですね』といってくれた。家族の賛成があれば、お互いに安心できる」と比嘉さん。

平和を考える企画も

 沖縄ならではの企画にも力を入れています。低学年の病院実習には可能な限り「基地・戦跡めぐり」を組みいれます。県連に二人、病院に一人いる医学生担当者が引率し、ガイドもします。

 医学生担当者の津嘉山覚さんは、「平和や憲法を考えるフィールドは多い。学生が自分たちで考え、学ぶことができる」と、成長ぶりを喜んでいます。

 「大運動の成果は、日ごろの結びつきが生きたもの。学生にとっても、将来のことを考えるきっかけになり、タイミングも良かった」。山城医師と比嘉さんは同意見でした。そして「もう何人かふやしたい」と意欲満々です。
今年は医学生と薬学生が合同で。新しい仲間と盛り上がった

※「群星沖縄」=臨床研修のための病院群。管理型の七病院と、一〇以上の協力型病院・施設が参加

(民医連新聞 第1364号 2005年9月19日)

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