民医連新聞

2005年9月19日

共同組織強化月間いよいよ10月~11月 仲間が増えるとなんでもできるネ

 一〇~一一月、全日本民医連は共同組織強化月間を呼びかけました。「安心してすみつづけられるまちづくりを」と掲げる共同組織は、健康づくり、ささえあい、平和や社会保障運動と、大活躍。六月の共同組織活動交流集会で報告された実践の一部を紹介します。(編集部)

ときわフレンズ
地域の子育て見守る

 子育て中の地域のお母さんを支援するささえあいも行われています。新潟市・ときわ診療所の共同組織です。

 きっかけは二〇〇〇年四月、診療所の新築移転でした。「診療所を公民館のように地域でつかってもらおう」と話し合って決めました。卓球や体操サークルから、高齢者のお食事会、町内会の役員会まで、年間のべ六〇〇〇人が診療所二階の開放スペースに出入りしています。

 その中のひとつが「ときわフレンズ」です。福祉・保健センターの保健師さんからも意見をきいて、「公園のお砂場のようになれば」と、はじめました。

 対象にしているのは三歳児未満の幼児と保護者です。対象年齢は幼稚園や保育園に入る前の子どもたちに絞って設定しました。毎週木曜に、遊具や絵本などを提供しつつ、七夕やクリスマスなど、季節ごとの行事にもとりくんでいます。

 この場にいるのが共同組識のボランティアさんたちです。現在一五人が登録中。助産師のボランティアを中心に、お母さんたちから出される、子育ての様ざまな悩みにこたえています(写真)。

 「ときわフレンズ」、昨年の年間開放回数は四四日、のべ参加数六〇〇人、一回平均一三・五人になりました。クチコミでひろがって参加者が集まります。

 市「保健・福祉センター」の子育て講座が受けられなかった親子が、センターから紹介されて、やってくるケースまであるといいます。

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 共同組識のボランティア活動がきっかけで診療所への子どもたちの受診も増えています。患者の年齢層は、一三歳未満二八一人(三一・二%)乳幼児のインフルエンザ予防接種は〇三年度の五〇六人から九〇一人、一七八・一%にもなりました。

 また、家族ぐるみで患者になっているケースも目だちます。四月からの新患の内訳を見ると、多くが新興住宅地からきていることが分かりました。


“捨てるウンコでひろう命”
ひろがる大腸ガン検診

 地域の健康づくりも、共同組織の大きな持ち味です。たとえば大腸がん健診、「手遅れのがん患者を出さない」運動のひとつですが、受診者1万人という大腸がん健診大運動を行ったヘルスコープおおさかの経験が、全国にひろがっています。

 青森保健生協でも2004年9月~翌年3月の7カ月間、「受けよう大腸健診・広げよう健康家族」をスローガンに、「5000人大腸がん受診運動」を行いました。

 訪問行動では「『健診を』と声をかけられたのは初めて、うれしい」「健診を病院で手軽に受けられるのが分かって よかった」という声が。これに後押しされるように、猛暑でも職員、組合員一丸となってとりくみ、1000件を超える訪問を行いました。目標までは届きませ んでしたが、前年の1.5倍の3100人が受診、7件の大腸がんの早期発見・治療につなげました。

 「健康づくり」から「仲間づくり」「協同の運動」「地域再発見」へと、とりくみがだんだん深まっています。新規地区の開拓、組合員の積極的な活動参加、組合員と職員の交流も深まり、医療生協本来の健康づくりが多くの人に受け入れられました。

 鳥取でも、「捨てるウンコでひろう命」をスローガンに、2005年1~3月を「うんこ月間」に設定。支部・班で「検診のおすすめ」紙芝居や「マル秘便秘物語」ビデオで学習会をひろげました。

 3カ月で1167件をチェックし、要精査率は7%。学習をすすめた班では健康への意識が高まり、健診や人間ドッグの受診にもつながりました。

 ほか、東京や高知、福岡などでも大腸がん健診運動がとりくまれています。


10万人の仲間と3000の『元気』読者を
全日本民医連
北村眞次長のはなし

 一〇月から介護保険の食費・居住費の徴収がはじまり、大幅負担増で多くの高齢者とその家族のいのちとくらしが脅 かされます。来年は医療・介護の診療報酬のダブル改定が予定され、医療保険にも食費・居住費の導入がたくらまれています。憲法改悪にむけた動きがますます 緊迫しています。

 そんな中で今年の共同組織強化月間がとりくまれます。医療・介護保険改悪から切り捨てられる人を生み出さないまちづくり、平和を求めるまちづくりが求められます。共同組織の方たちとすべての職員が力を合わせてまちづくり運動と共同組織の強化をすすめましょう。

 今年の「月間」では一〇万の仲間を増やすことと三〇〇〇の『いつでも元気』読者増やしが目標です。そのために事 業所利用者のみなさんに共同組織参加を呼びかけ、加入してもらいましょう。まだ共同組織に入っていない職員はこの機会に加入しましょう。また、すべての職 員が『元気』誌を購読しましょう。


社会保障・平和
地域で運動すすめる

●宮城・くりこまクリニック友の会は、地域の拠点病院に不在だった小児科の常勤医の配置を運動で実現しました。孫 が急病で困った、という会員自身の体験がきっかけ。署名を集め、病院への要請や、県知事への訴え、厚生労働省への交渉などを展開。二年間不在だった小児科 医が、〇四年一〇月から常駐に。地元メディアも多数とりあげました。

●千葉・船橋二和病院健康友の会では、医療・介護・福祉制度の役立つ情報を知らせながら、相談助け合い活動にとり くんでいます。今では電話相談や事務所を訪れる人が増え、はじめて二年で一四〇件の相談を受けました。地域での学習会や確定申告、市民税の申告相談会など も開いています。

●愛知・尾張健友会では、介護保険改悪を許さない学習・宣伝・署名活動にとりくみ、半年で一五〇回の懇談会や学習会をひらき、九〇〇人が参加。この運動を通じて、新たに社保協を結成した地域も生まれました。

●岡山医療生協では、県南東備の一八市町自治体への要求運動をつづけています。乳幼児医療費無料化や、国保人間 ドッグの実現、自治体健診期間の延長、駅のバリアフリー化など、二〇年近いとりくみで、たくさん実りました。今も「敬老自治体宣言」の要求や「保険でよい 入れ歯」のとりくみなどを行っています。

●大阪・みみはら健康友の会は「九条の会」をつくり、憲法九条と平和を守る運動にとりくんでいます。紙芝居で戦争の悲惨さと九条の大切さを広めています。

(民医連新聞 第1364号 2005年9月19日)

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