副作用モニター情報〈210〉 偽膜性大腸炎に注意
偽膜性大腸炎は、抗生物質で他の菌が死滅し、結腸周辺で増殖したクロストリジウムディフィシル菌(CD)が毒素を出し、びらんなどが生じて起こります。 抗生剤の連続投与7日程度で生じるとされ、CLDMかABPCの投与で15~28%に下痢を発症、1~3%で菌を確認した報告も。日本での健常成人の保菌 率は平均7.6%(4.2~15.3%)。
欧米ではこの菌は院内感染下痢症の重要な原因菌であり、入院患者の約10%が感染した、という報告もあります。同時多発感染の防止には排泄物などの管理に注意が必要です。
当モニターには、やむをえず連続投与した事例で報告がありました。抗生剤投与には定期的なチェックや、必要に応じた調査・監視が求められます。事例を紹介します。
(症例1)DMによる壊疽の57歳男性。
1~2日目…CLDM600mg回/日、3~10日目に2回/日。CEZ1gを1~2日目に1回/日、3~4日目に2回/日。5日目PIPC1g2回/ 日、6~11日目にPIPC2gを2回/日。9日目で下痢発症、10日目便培養。12日目にCD+、抗生剤を中止したが改善せず。16日目から4日間、バ ンコマイシン内服1g/日を投与し改善。
(症例2)発熱の85歳男性。CLDM600mg2回/日・ABPC2g2回/日を開始。3日目に減量しCLDM300mg2回/日・ ABPC1g2回/日へ。5日目中止。2週間後に発熱、ABPC2g2回/日投与開始。4日目下痢、便培養CD+のためバンコマイシン0.5g4回/日で内服開始。5日後CD-に。
(民医連新聞 第1342号 2004年10月18日)
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