副作用モニター情報〈205〉 透析患者へのバルトレックスの投与
バルトレックス(抗ウイルス剤バラシクロビル)を添付文書の記載用量より減じて投与したが、精神症状を呈した症例が報告されました。
(症例)帯状疱疹が疑われた74歳の透析患者。添付文書には透析患者への推奨用量は1000㎎/日とされていたが、他書籍を参考に500㎎/日に減ずるこ とを薬局が提案、投与開始された。投与2日目より呂律不良、歩行困難等の症状出現。投与3日目の透析前には幻覚・幻視も出現。透析後には幻覚等の症状は消 失。投与中止で他の症状も以後軽快した。
(文献*より)Ccr3.5ml/分の腹膜潅流の患者に500㎎/日投与で、3時間後の最高血中濃度は12.23μg/mlまで上昇した(健常人1000 ㎎単回投与では5.84μg/ml)。全7症例の血中濃度解析及び副作用症状による検討より、透析患者Ccr5~10では500㎎/日、Ccr5未満では 250㎎/日を推奨する。また精神神経症状出現は本剤の代謝産物が関与し、この代謝酵素には個人差がある。
製薬メーカーは、エビデンスを示しきれるほどの症例検討をしておらず、現時点で添付文書記載用量を変更する予定は無い、とのことでした。経口生物学的利用 率がアシクロビルに比べ10~20%高い(54.2%)本剤は、透析患者のみならず高齢者等の腎機能低下患者も含め、慎重に投与量を決める必要がありま す。
(文献*)臨床医薬20巻5号(5月)2004年
(民医連新聞 第1337号 2004年8月2日)
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