副作用モニター情報〈197〉 ユニカリックによる代謝性アシドーシス
「ユニカリックL/N」はワンバッグのTPN(経中心静脈高カロリー輸液)製剤で、利便性や混注時の細菌感染防止といった点から、院内だけでなく在宅でも利用されます。
本剤には「メイラード反応」※の抑制と、リン酸の安定化のため、多量の塩酸基(Cl、クロル)が含まれるため高 クロル性、代謝性アシドーシスへの注意の必要性が以前から指摘されていました。しかしなお、特に腎機能低下の高齢患者で、代謝性アシドーシスを引き起こし た例が報告されています。
予防に重要なのは、(1)腎での酸排泄機能が低下中の患者には使用を控える、(2)状態に合った適切なTPN製 剤の選択を行う、(3)投与後は酸塩基バランスをモニターし、アシドーシスの早期発見に努めること、などです。ただし実際は、酸排泄機能を正確に測る指標 がなく、一般的な腎機能検査と年齢などから、ハイリスク患者を推定する必要があります。また、ハイリスク患者に他のTPN製剤(ピーエヌツインやフルカ リック、ハイカリック+アミノ酸製剤など)を選択するなどを、院内使用基準にすることも必要です。
呼吸状態の悪化や電解質異常など、アシドーシス兆候がでた場合、他のTPN製剤に切り替え、重炭酸ナトリウムを投与することで、重症化や副作用が回避できます。兆候を早く見つけ、適切な対処が求められます。
※ブドウ糖とアミノ酸を混合し加熱すると褐色化、変質する反応
(民医連新聞 第1319号 2003年11月3日)
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