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民医連新聞

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副作用モニター情報〈460〉 酸化マグネシウムによる高マグネシウム血症

  2015年11月、厚生労働省は酸化マグネシウム(以下、酸化Mg)による高マグネシウム血症の安全性情報を08年に続き発出しました。これは12年4月から15年6月までに報告された29例(うち死亡4例)のうち、19例(うち死亡1例)は酸化マグネシウムの服用との因果関係を否定できなかったためです。
 酸化Mgは、便秘に対して処方される場合がほとんどです。安全性情報で紹介された症例では、消化管の動きを抑える作用がある抗精神病薬を併用していました。これは、薬剤が腸内に滞留する時間を延ばし、吸収しやすくさせていたと考えられます。
 当副作用モニターでは、11年10月17日付360号で酸化MGの副作用について紹介しました。今回、10年間の報告を見返すと、高Mg血症が11症例報告されていました。
症例)80代女性。服用開始前から徐脈で入退院を繰り返す。便秘のためマグミット(成分酸化Mg)990mg/日開始。約2カ月後、徐脈が悪化し徐脈性心房細動でペースメーカー導入となった。導入前検査で高Mg血症あり(血清Mg値6.2mg/dl)、マグミットは中止。経管栄養剤使用(Mg320mg/日含有)、血清クレアチニン1.06、eGFR38.2ml/分/1.73平方メートル。もともと徐脈傾向だったが、悪化は高Mgの影響を否定できない、とされた。
 11症例のうち5例で症状があり、それぞれ吐き気・嘔吐(Mg値3.2)、手の震え(Mg値4.3)、徐脈生心房細動(Mg値6.2)、徐脈性不整脈・悪心嘔吐・意識障害(Mg値5.7)、意識障害(Mg値7.5)でした。残り6例は検査値の上昇のみで、症状はありませんでした(Mg値2.7~5.3)。
 報告症例では、高齢者や腎機能低下患者が多く、消化管でのMgの吸収を促進する活性型ビタミンD剤を服用しているのは2例ありました。消化管の動きを抑える薬である、非定型抗精神病薬、抗うつ剤、過活動膀胱治療剤、オピオイドなどを併用している場合も注意が必要です。

(民医連新聞 第1622号 2016年6月20日)