副作用モニター情報〈458〉 抗菌薬レボフロキサシンによるアキレス腱断裂
抗菌薬レボフロキサシン(商品名:クラビット錠)について、本モニターではけいれんなど中枢神経症状について報告していました。今回は、アキレス腱障害に関する報告がありました。
症例1)70代後半、透析中の患者。膀胱炎にて初回500mg処方で投与。6日目にアキレス腱の痛みを訴え、悪化したため入院。
症例2)70代後半の患者。肺炎にて初回500mg投与。2日目に足首が酷い浮腫になり中止。
FDA(米国食品医薬品局)は、レボフロキサシンを含むフルオロキノロン系抗菌薬について、アキレス腱や肩、手などの腱炎及び腱断裂の重篤症例が市販後継続的に報告されているとして、2008年に添付文書に警告として追記することを通告しました。日本では、09年のレボフロキサシン高用量製剤承認時に重大な副作用項目として注意喚起されましたが、用量依存性については明らかではないとされていました。
しかし、厚労省(PMDA)への副作用集積状況をみると、腱断裂は05~09年で5例でしたが、高用量製剤発売後の10~15年には21例報告されていました。クラビット点滴静注での報告も1例ありました。
腱障害が発現する仕組みは明確でないものの、「コラーゲン線維に対する毒性」と指摘されています。高リスク患者は、「60歳以上、ステロイド併用、腎不全、関節リウマチなどに伴う腱障害の既往のある患者」と言われています。PMDA報告例では、全26例中19例が60歳以上、11例がステロイド併用、4例が透析患者でした。本モニターの2症例は完全断裂には至らなかったケースでしたが、PMDAには投与終了数十日~数カ月後に腱断裂に至った例が報告されています。
腱の疼痛、浮腫などの炎症徴候、筋肉内出血といった先行症状が現れた時点で、投与を中止する必要があります。
(民医連新聞 第1620号 2016年5月23日)
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