副作用モニター情報〈142〉 98年期下半期まとめから~アスピリンによる肝障害
若年性関節リウマチの九歳の男児(体重三四kg)に解熱目的でミニマックス(アスピリン)を一回五〇〇mgで一日三回投与したところ重篤な肝障害が惹起 されました。服用二日後に肝機能が悪化し始め、七日後にはGOT七八八IU/L、GPT七七〇IU/Lまで上昇したため中止しました。その後は徐じょに回 復しています。血中濃度依存性の他の症状(耳鳴りなど)は確認できませんでした。
一般にアスピリンの鎮痛効果は血清サリチル酸濃度が一〇mg/dl、抗リウマチ効果は一〇~三〇mg/dlで期待されます。しかし有効濃度である二〇 mg/dlでは耳鳴り、めまい、頭痛が発現し、肝障害が引き起こされた場合は重症例が多いとされています。また、血清サリチル酸濃度が一五mg/dl以上 では頻回の血清GOT、GPTのモニターが勧められています。肝障害や耳鳴りなどの副作用発現域はリウマチの治療域で起こるため注意が必要です。またアス ピリンは定常状態に達するまで五~七日かかるため、服用初期二~三日での症状はより強くなることがあるため早期の対応が大切です。
- 記事関連ワード
- 副作用副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)症状