副作用モニター情報〈145〉 ボルタレン坐薬による自己免疫性溶血性貧血(98年度下期のまとめより)
解熱・沈痛・抗炎症薬のボルタレン坐薬(25mg)による「自己免疫性溶血性貧血」の重症例が一例報告されました。80歳男性の右足関節痛に処方され、 使用後7日ころより徐じょに食欲が低下、さらに2日後顔色不良、呼吸苦、黄疸出現のため入院。入院後の検査で自己免疫性溶血性貧血と診断されました。
ボルタレンによる自己免疫性溶血性貧血の報告はこれまでに国内で1例、海外で10例と頻度としては非常に低い副作用ですが、投与量の多少に関係なく発症するため注意が必要です。
一般に免疫性溶血性貧血は表のように分類されます。ひとつの薬剤が複数の機序を介して発症することもあります。初期症状としては「発熱」「皮膚や白目が 黄色くなる」「貧血症状(めまい、疲れやすい、顔色不良)」などが挙げられます。
原因薬剤の中止のみで改善する例が多いようですが、重篤化を防ぐために患者への説明と初期症状の見落としに注意が必要です。
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