副作用モニター情報〈148〉 避妊用低用量ピル発売
日本でも9月から低用量ピルが発売になりました。だれでも利用できるようになったとして歓迎するむきもありますが、がんや血栓、血管系疾患の発生頻度へ の影響は〈表〉のようになっており、基礎疾患や危険因子のチェック、服用中の安全性チェックは欠かせません。メーカーは日本産婦人科学会の協力を得て、共 通のガイドラインを作成しており、処方前に行うべきスクリーニング検査および服用中の定期検査などが細かく例示されています。使用は、これらのガイドライ ンに沿って慎重に行うべきでしょう。再度、問題点をまとめておきたいと思います。
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〈表〉中の疾患発現のリスクは、開始年齢や服用年数、各種危険因子により大きく影響を受ける。対象者のスクリーニングは非常に重要である。
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STD(性感染症)防止のためには、従来の避妊法との併用が望ましい。服用者ではクラミジアに感染しやすくなること、クラミジア感染者はHIVに四倍も感染しやすくなることが報告されている。
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正しく服用すれば成功率が高いが、飲み忘れによる失敗が多い。妊娠に気付かず服用した場合の胎児への影響も大である。
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大量普及により、し尿処理水などに含まれる微量のホルモンによる環境への影響も問題になる。
マスコミによる宣伝効果のため、希望者が増えることが予想されます。患者側の選択肢が増えたことは望ましいことですが、ピルのメリット、デメリットを正しく認識してもらい、安易または不適切な使用による被害を起こさないようにしましょう。
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