副作用モニター情報〈153〉 メルカゾールによる「顆粒球減少症」(99年度上期血液障害のまとめより)
抗甲状腺薬のメルカゾール(一般名:チアマゾール)による「顆粒球減少症」の重症例が一例報告されました。「バセドウ病」に処方され、服用開始1カ月で 咽頭痛、発熱(38度以上)などの症状が出現、白血球1300mm3(基準値3500~9000)、好中球12.8%(基準値55%)のため入院となりま した。メルカゾールの服用中止後、九日で軽快、ヨウ化カリウムの治療へ切り替えています。メルカゾールによる「顆粒球減少症」の発症は免疫学的機序による ものと考えられており、その発現頻度は0.2%と低いものの、重篤な副作用として熟知のものです。
顆粒球減少症の発症は本症例のように患者からの初期症状(他に悪寒、口内炎、倦怠感など)の訴えにより確認できる場合と、症状のないまま定期的な血液検 査で確認される場合があります。発症は突発的で予測は困難ですが、薬剤の中止、早期治療などで回復します。副作用の重篤化を防ぐためにも、患者への十分な 説明と、定期的な白血球数(血液分画もふくめて)の測定が望ましいと言えます。
また、抗甲状腺薬による顆粒球減少症はチアマゾールとプロピルチオウラシルの交差アレルギーが確認されているため、副作用発現後の薬剤の切り替えには注意が必要です。
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