副作用モニター情報〈170〉 造影剤による副作用の予防について(2000年下期ショック症例のまとめより)
ヨード造影剤は、イオン性高浸透圧剤よりも非イオン性低浸透圧剤の方が多く使用されるようになりました。副作用は減少しましたが、皆無ではありません。
副作用の予防という点から、ヨード造影剤の静脈内投与での副作用についての文献を紹介します。
86年9月~88年6月の期間に、イオン性造影剤16万9284例、非イオン性造影剤16万8368例が調査されました(Radiology vol175 p621-628,1990)。
まず造影剤の副作用歴について、ある場合は、ない場合に比べてイオン性・非イオン性剤のいずれも、副作用・重篤副作用の発現率が約五倍に増えます。ここ での副作用歴は、イオン性造影剤によるものと考えられています。
そして、アレルギー歴については、ある場合は、ない場合に比べてイオン性・非イオン性剤のいずれも、副作用・重篤副作用の発現率が約3倍に増えます。気 管支喘息がある場合は、重篤副作用の発現率が、イオン性剤で10倍、非イオン性剤で8倍に増えます。
また、ステロイド剤、抗ヒスタミン剤、鎮静剤の前投薬については、イオン性造影剤では、一部に効果が見られただけであり、非イオン性造影剤では効果は見られませんでした。
これらのことより、造影剤の副作用歴の有無、アレルギー特に気管支喘息の有無の確認が、造影剤による副作用の予防には重要になります。使用前に十分な問診が必要です。
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