副作用モニター情報〈183〉 味覚異常(2001年上期まとめより)
2001年上期、添付文書にない副作用として味覚異常が二件報告されました。
【ノイロトロピン錠による舌の痺れ、味覚低下を起こした症例】
84歳女性。服用開始2カ月後に舌のしびれが発現し、食べ物の味がわからなくなった。服用中止二週間後に回復。
【バッサミン錠(一般名:アスピリン・ダイアルミネート)による味覚異常、舌の荒れを起こした症例】
75歳女性。服用2週間後に舌の赤みが出現。その後白くなり、味覚も低下。中止後徐々に回復。
味覚異常の原因は、薬剤の副作用によるものが全体のおよそ四分の一といわれ、大きな割合を占めています。なかでも血清亜鉛値の低下を示す症例は多く、亜 鉛とキレートを作る構造を持っている薬剤では亜鉛欠乏を起こしやすいといわれています。
薬剤以外の原因として、亜鉛欠乏、肝、腎、胃腸、甲状腺の疾患や糖尿病などの全身疾患、口腔疾患、唾液分泌の低下、臭覚異常、加齢などがあります。しか し、これらの原因の陰に薬剤が関与している場合があり注意が必要です。
今回の症例では、どちらも薬剤による舌の荒れやしびれなど、口腔内の変化が味覚異常の原因となったと推察されます。さらにバッサミンは亜鉛とキレートを 作る構造を持つことから、亜鉛が欠乏していた可能性もあります。
味覚異常は軽視されがちな症状ですが、食欲不振や栄養障害、ストレスなどの精神変調を起こすこともあるため、原因の究明と治療は重要です。添付文書に味 覚異常の記載がない場合は、原因の追及から薬剤がもれる事がしばしばです。添付文書の記載の有無にかかわらず、一度は薬剤を疑ってみることをお勧めしま す。
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