副作用モニター情報〈453〉 骨粗しょう症治療薬デノスマブ(遺伝子組み換え)による顎骨壊死
2013年、骨粗しょう症治療薬のヒト型抗RANKLモノクローナル抗体製剤デノスマブ(商品名:プラリア皮下注60mgシリンジ)が発売されました。成人の用法・用量は「6カ月に1回、60mgを皮下注射」です。
人間の骨は、壊されたり、新しく作られたりを毎日繰り返しながら、最終的に必要な骨量を保っています(骨回転)。しかし、加齢によって作られる骨の量が減っていくと、壊される骨の量の方が相対的に多くなるため、骨はいわばスカスカの状態になっていきます。これが骨粗しょう症です。
デノスマブは、骨を壊す細胞(破骨細胞)の働きを弱め、骨粗しょう症を改善します。今回、この薬剤による副作用で顎骨壊死の症例が報告されました。
症例)60代女性。デノスマブ投与11カ月後に、歯茎の腫れが気になり始めた。口腔外科を受診したところ、顎骨骨髄炎による顎骨壊死と診断。その後、口腔外科で外科手術を行い、抗生剤投与などをされた。その後、デノスマブの投与は中止し、他剤に変更。
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これまで、当モニターでビスホスホネート系薬剤による顎骨壊死は何度かとりあげてきました。デノスマブは、ビスホスホネート系薬剤とは違う働きをしますが、結果的には骨を壊す働きを弱めるため、骨回転に影響し、副作用が出るとみられています。そのため、顎骨壊死には十分な注意が必要です。
また、顎骨壊死は、悪性腫瘍、化学療法、コルチコステロイド治療、放射線療法、歯科処置の既往、口腔状態が不衛生であるなどの要因で発症頻度が高くなると言われています。顎骨壊死を防ぐためには、デノスマブの投与前に患者に適切な歯科検査を受けてもらい、抜歯など侵襲的な歯科処置は済ませておくことが大切です。
(民医連新聞 第1614号 2016年2月15日)
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