【声明2015.10.07】TPP「大筋合意」に抗議し、日本政府のすみやかな交渉撤退を求める
2015年10月7日
全日本民主医療機関連合会
会 長 藤末 衛
米アトランタで行われていた環太平洋連携協定(TPP)交渉を経て、日米など12カ国は4日(日本時間10月5日)、「大筋合意」を確認したと発表された。全日本民医連はこの「大筋合意」に抗議するとともに、日本政府に対して交渉からのすみやかな撤退、調印の断念を求める。
TPPの本質は、米国主導で多国籍企業の利益をはかる点にある。TPPには、経済活動の「障壁」と考えられるものがあれば、企業が他国政府を訴えることができる「ISD条項」が盛り込まれているとされる。
TPPに日本が参加すれば、食品の安全基準や検疫体制なども「障壁」として取り払われかねない。わが国の国民皆保険制度も、米保険会社などから利益拡大の「障壁」と見なされれば、縮小・解体に追い込まれる危険がある。製薬企業の知的財産権保護などを理由に、ジェネリック医薬品の販売が禁止されて医薬品の高騰につながり、必要な治療薬を入手できない患者が広がるのではないかとの指摘もある。これだけの危険な内容をもちながら、交渉の過程はいっさい国民に知らされない「秘密主義」が貫かれてきたことも重大である。
今回の交渉で日本政府は「聖域を守る」としてきた自らの公約も投げ捨てた。アメリカ産のコメについて年7万トンの無関税輸入枠を新設し、オーストリア産のコメについても年8400トンの無関税輸入枠を設けた。牛肉・豚肉の関税も大幅に引き下げ・廃止するなど譲歩を重ねた。さらに日本政府は今回の交渉で他国に対し合意に向けた積極的な旗振り役を担ったとまで伝えられている。
いのちと健康こそ最優先に守るべきとの観点から、全日本民医連は日本政府に対してTPP交渉からのすみやかな撤退を重ねて求めるものである。
以上
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