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副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

副作用モニター情報〈445〉 [続報]甘草含有漢方製剤の低カリウム血症について

 甘草含有漢方製剤による低カリウム血症については、当モニター293回「こむら返りに対する芍薬甘草湯の適正使用」(2008年8月18日付)および378回「抑肝散エキス顆粒による低カリウム血症」(12年8月20日付)で取り上げました。
 今回、過去5年間に報告された、漢方製剤による重篤度2(重篤な副作用ではないが、軽微な副作用でもないもの)以上の21症例を分析した結果、低カリウム血症が7例もありました。偽アルドステロン症を疑う血圧上昇と浮腫の1例と、低カリウム血症を疑う歩行困難の1例を加えると、甘草に含まれるグリチルリチンによると思われる症例が9例となります。他は、発疹などの過敏症が7例、間質性肺炎が3例、肝障害が2例でした。
 低カリウム血症の7症例の内訳は、下表の通りです。いずれも中止するか、カリウム製剤の投与で回復しています。

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 甘草によって低カリウム血症になるのは、含有するグリチルリチンがコルチゾールを変換する酵素を阻害し、増加したコルチゾールが尿細管の受容体に作用してナトリウムの再吸収とカリウムの排泄を促進するためといわれています。甘草1g中に含まれるグリチルリチンは約40mgで、1日の上限値はグリチルリチン300mg(甘草として7.5g)とされています。
 漢方製剤148品目中、甘草を含有するものは109品目です。その内、「下記の割合の混合エキスが含まれる」とされる生薬で甘草が2.5gを超える製剤12品目は、使用上の注意に「低カリウム血症に禁忌」とされています。
 症例のうち芍薬甘草湯は6g、小青竜湯は3gでした。また抑肝散は1.5gですが、認知症の周辺症状に対して高齢者に投与される場合が多く、2.5g以下でも発現しています。特に利尿剤や他の甘草含有製剤と併用するとリスクが増大します。甘草含有製剤を高齢者に長期処方する場合は、低カリウム血症や偽アルドステロン症に引き続き注意が必要です。

(民医連新聞 第1604号 2015年9月21日)