【声明2015.08.04】社会福祉法等の一部「改正」法案の採決に強く抗議する
2015年8月4日
全日本民主医療機関連合会
会長 藤末 衛
社会福祉法等の一部「改正」法案が7月29日の衆議院厚生労働委員会、31日の衆議院本会議で、自民、公明、民主、維新の賛成多数で採決されました。委員会での審議は、参考人陳述を含めてもわずか10時間程度であり、十分な質疑を保障しないままでの採決は断じて容認できません。
法案は、一部の社会福祉法人の不正を利用した社会福祉法人バッシングを背景に根拠のない「内部留保」を前提に、営利企業との公平性を強調して、すべての社会福祉法人に対し、無料または低額な料金で供給する「地域公益事業」の実施を義務化するとともに、「余裕財産」のある社会福祉法人に対しては、この「余裕財産」を活用し、「生計困難者」に対する無料または低額な料金で供給する「地域公益事業」への再投資を義務付けました。ところが、「余裕財産」の定義が曖昧で、算定様式すら未だ定まっていません。
そもそも、公益性や非営利性を備えた社会福祉法人に対して、「内部留保」という概念を持ち出すこと自体が間違いです。社会福祉法人が確保している利益剰余金は、使途が明確であり、運転資金と経年劣化にともなう施設の建て替え・改修費の積立、退職金の積立、新規事業のための開設準備資金など事業の継続と発展に欠かせないものばかりです。営利優先で大企業が貯め込んでいる「内部留保」とは異なります。
無料または低額な「地域公益事業」は、本来、政府や自治体が公的責任で行わなければならない事業です。これは、公的責任の肩代わりを社会福祉法人に委ね、公費削減を狙うものでしかありません。
全日本民医連は、憲法25条にもとづく、権利としての社会福祉を守り、発展させる立場から、この法案の採決に強く抗議するとともに、参議院での十分な審議時間の確保と法案の廃案を求めます。
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