副作用モニター情報〈429〉 ピロリ菌除菌薬の副作用について
ヘリコバクター・ピロリ菌除菌に用いる薬剤による副作用が、2013年以降、47例60件報告されています。薬剤の適用がピロリ感染胃炎に拡大された影響もあるかもしれませんが、症例数の多さを再認識させられました。
ピロリ菌の除菌には、胃酸の分泌を抑えるプロトンポンプ阻害剤(PPI:オメプラゾール、ランソプラゾール、ラベプラゾール、エソメプラゾールのいずれ か)と、抗生物質のアモキシシリン、クラリスロマイシン(2次除菌ではメトロニダゾール)を7日間内服することになっており、ほとんどの症例が3種類の薬 剤を被疑薬とした報告となっています。
内容は薬疹・発疹・じんま疹などの過敏が27件と最も多く、下痢11件、かゆみ5件、味覚異常5件のほか、嘔吐、舌炎・舌の変色などが続きます。皮膚症状が全身におよび、入院に至った例が2例ありました。
過敏の発現時期については、アナフィラキシーを含む服用3日以内が9例と、ほぼ服用を終えた7日以降の16例に分かれています。29例が7日以内に副作 用を発現し、半数が中止、半数が様子を見ながら7日分飲み切っていました。
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回復期間については、多くが数日~1週間程度ですが、味覚異常の2例が、回復に1カ月以上要していることが特徴でした。
副作用症状自体は既知のものですが、通常より用量が多くなるため、添付文書上でもピロリ菌除菌の場合は発現頻度が高くなることが確認できます。出血性の 副作用報告はありませんでしたが、メトロニダゾールについてピロリ除菌療法に伴う「出血性大腸炎」が重大な副作用として2014年9月に添付文書に追加さ れています。
副作用症状がひどい場合は、服用継続について主治医と相談が必要です。
(民医連新聞 第1588号 2015年1月19日)
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