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副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

副作用モニター情報〈417〉 シロドシン錠による不整脈症例

 シロドシン錠(製品名:ユリーフ錠)は前立腺肥大症に伴う排尿障害を改善する薬剤です。選択的α1Aアドレナリン受容体遮断薬で、前立腺や尿道に分布するα1A受容体を遮断することにより下部尿路平滑筋の緊張を緩和します。類似薬のタムスロシン塩酸塩(製品名:ハルナールD錠)に比べてα1A受容 体への選択性が20~30倍高く、かつ1日の用量も高く設定されているため、副作用頻度と重篤度が増す危険性があります。
症例)70代男性 前立腺肥大に伴う頻尿がひどく、ナフトピジル(製品名:フリバスOD錠)75㎎よりシロドシン錠8㎎へ変更。
 投与35日後、胸苦あり。血圧120/70
 投与106日後、咳がひどく左胸が苦しい。XP、心電図とも異常なし。
 投与121日後、夜中に覚醒するほどの左胸苦あり。血圧143/77、脈拍112、心電図で心房細動。ベラパミル塩酸塩(製品名:ワソラン)3錠、ワル ファリン錠3㎎処方開始。投与134日後、循環器受診。心電図で上室性期外収縮連発が優位。血圧120/80。ベラパミル塩酸塩からジゴキシン錠0.25 ㎎へ変更。
 投与183日後、胸苦のため早めに受診。上室性期外収縮連発 血圧140/80。ジゴキシン・ワルファリン中止し、シベンゾリンコハク酸塩(製品名:シベノール錠)300㎎処方。シロドシン錠も不整脈の副作用があるため中止となる。
 中止7日後、動悸改善。シベンゾリンコハク酸塩で排尿障害なし。血圧130/80。中止42日後、シベンゾリンコハク酸塩中止

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 α1Aアドレナリン受容体は、前立腺以外に血管にも分布しているため、シロドシン錠によって血管平滑筋が弛緩して血圧低下を起こし、二次的に頻脈や動悸の副作用が生じると考えられています。
 メーカーは、上室性期外収縮3件を含む29件の「不整脈関連副作用」の報告があるとしていますが、それ以外に「期外収縮・頻脈・動悸」として50件が報 告されています。実際には「不整脈関連副作用」はもう少し多いと思われます。副作用の発現時期は1日目~275日目と長期にわたり、服用後9カ月を経過し て発現した症例もあり、注意が必要です。
 最近の新薬は、より強い臨床効果を期待して常用量を高めに設定している場合があります。生理機能の低下している可能性のある高齢者へは、いま一度、「低用量から投与を開始する」という原則に留意しましょう。

(民医連新聞 第1574号 2014年6月16日)