副作用モニター情報〈416〉 ファモチジン注射液の血球減少副作用事例
ファモチジン注射液による血液障害に関して、当モニター275回(2007年9月17日付)で注意喚起事例(白血球減少症)として報告をしています。今回の事例は、血小板減少です。
症例)80代女性、体重47kg。急性腸炎、ショック状態で入院となり、敗血症、DICで血小板2.7万/
まで低下。血小板20.9万/ まで回復し、DIC改善。その後、下痢、腹痛、胃炎の診断にてオメプラゾール注開始とな る。その後、ファモチジン注20mg×2へ変更。血小板18.5万/ 。ファモチジン注開始後21日目 血小板1万まで低下し、血小板輸血、薬剤性の血小 板減少の疑いにて中止。さらに血小板輸血を行い、中止後27日目に血小板5.7万/ まで徐々に回復した。
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ファモチジンを含むヒスタミンH2受容体拮抗剤は、胃炎や胃・十二指腸潰瘍等の疾患に多数使用されています。さらに、1997年9月からスイッチOTCとして販売可能になり、広く一般的に汎用されています。
血液障害は0.1~0.2%の発生頻度ですが、無顆粒球症や再生不良性貧血などの重篤な血液障害を発現し、死亡例も報告されています。
血液障害の発生機序に関しては、造血幹細胞にあるH2受容体が阻害されるためと考えられていますが、未だ明確になっていません。また、投与経路により、 排泄の場所も肝もしくは腎と変わってきます。ファモチジン静注は経口と異なり、ほとんどが腎から排泄されるため、腎障害患者や特に腎機能が低下している高 齢者などへの投与には過量投与にならないよう、投与量や投与期間に注意を払う必要があります。
投与に際しては、血液障害は1カ月以内に起こりやすく、定期的な血液検査を行うとともに、発熱、喉の痛み、悪寒、皮膚に紫斑ができる、出血しやすいなど初期症状をモニターすることも大切です。
(民医連新聞 第1573号 2014年6月2日)