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副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

副作用モニター情報〈400〉 トラムセット配合錠による副作用について

 トラムセット配合錠は2011年に発売され、1錠にトラマドール塩酸塩37.5mgとアセトアミノフェン325mgを含む配合錠です。
 トラマドール塩酸塩は、WHO三段階除痛ラダーでコデイン同様「ステップ2」に位置付けられた弱オピオイド鎮痛薬です。μ-オピオイド受容体へ作用する と同時に、ノルアドレナリンとセロトニンの再取り込みを阻害し、下行性疼痛抑制系を活性化するとされています。
 当副作用モニターには、この1年間で7症例10件の副作用報告が寄せられました。消化器系の副作用が多く、「悪心、嘔吐、便秘」の報告が4件。添付文書 でも、各々41.4%、26.2%、21.2%と非常に発現頻度の高い副作用ですが、1日投与量が2錠と、少量投与症例での報告もありました。また、「悪 心、嘔吐」は、服用初期に見られることが多く、2例が投与1日で発現していますが、12日後に発現した症例も見られました。
 「悪心、嘔吐、便秘」の発現頻度の高さを考えると、「悪心、嘔吐」の予防策として「就寝前1錠から開始し漸増する」ことや、「開始及び増量後3~7日で 耐性が生じ、症状が軽減する」可能性を考慮しつつ、制吐剤や緩下剤等の適切な併用も必要に思われます。
 精神・神経系の副作用も4件と多く、「全身のふるえ、ふらつき、めまい、眠気」が報告されています。90歳代の高齢な患者ばかりでなく、50歳代の2症 例でも発現しており、自動車の運転等、危険を伴う機械の操作に従事させない等の注意も必要です。
 その他には、1錠服用後すぐに全身に蕁麻疹が発現した症例や、1日2錠を約6カ月間服用後、ヘモグロビンが減少した副作用も報告されました。

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 トラムセット配合錠は麻薬指定されていないため、扱いやすいというメリットはあります。しかし、今回の副作用報告には含まれないものの、トラマドール塩酸塩の過量投与による呼吸抑制や昏睡、痙攣発作、心停止などには十分な注意が必要です。
 また、アセトアミノフェンによる重篤な肝障害にも注意が必要で、アセトアミノフェンの1日総量が1500mgを超す高用量や長期投与の場合は、定期的に肝機能がチェックされているかにも留意しましょう。

(民医連新聞 第1554号 2013年8月19日)