副作用モニター情報〈399〉 フェニトインによる薬剤過敏症候群の特徴
抗てんかん薬であるフェニトインによる過敏反応は、発熱を伴う軽度な発疹から、落屑性皮膚炎、血管炎、播種性血管内凝固などを伴う劇症の致死的な反応までが知られています。
最近1年間の副作用モニターに報告されたフェニトインによる副作用は5例。薬剤性過敏症候群が2例、肝障害2例、顆粒球減少1例です。
過敏反応でよくみられる兆候は、発熱、好酸球増加、リンパ節疾患、血液疾患、肝障害、腎不全など。これらが様々な組み合わせで生じます。今回報告されて いる重篤な過敏反応症例でも、発熱と好酸球増多がみとめられました。また「フェニトイン治療開始後3週間以内に紅斑性麻疹状発疹が生じる」とする報告があ り、報告症例と一致しています。
一般的には軽度な型(はしか様あるいは猩紅熱様)が多く、発疹が消失した後にフェニトインの処方が再開されるケースがありますが、発疹の再発や症状の改 善が見られない場合には早急に薬剤の変更が必要です。報告された副作用症例では、フェニトイン少量再開で経過観察するも解熱せず、他剤に変更して解熱し皮 膚症状も改善しています。他剤変更の場合には、構造上同一の化合物(バルビツール酸誘導体、スクシンイミドなど)には十分な注意喚起が求められます。
致死的な恐れのある重篤な型は、水胞性、剥脱性、紫斑性皮膚炎、紅斑性狼瘡、Stevens-Johnson症候群、中毒性表皮壊死症候群です。フェニ トイン投与の患者には、発熱や発疹が発現した場合はすみやかに報告することの重要性について説明し、重篤化を防ぐことが大切です。
(民医連新聞 第1553号 2013年8月5日)
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