副作用モニター情報〈393〉 モニタリング結果から見るリピトールの副作用
アトルバスタチンカルシウム水和物(商品名:リピトール)の過去1年間(2011~12年)に副作用モニターに寄せられた報告は79件です。症状 分類別で挙げると、筋骨格系の副作用が30件と最も多く、肝機能障害が14件、CPK上昇が9件、発疹などの皮膚症状が8件、嘔気・悪心などの胃腸症状が 7件などでした。骨格筋系の副作用は、下肢・首・肩などの筋肉痛、こむら返り、脱力感などです。これらは横紋筋融解症の初期症状とも言え、着色尿1件も報 告されています。
【症例1】(肝機能障害グレード2)
70代女性、脂質異常症でリピトール5mg開始。開始約3カ月後の血液検査GOT:117、GPT:158、ALP:1013となり、中止。中止後、約1カ月後の血液検査GOT:24、GPT:23、ALP:287と回復。
【症例2】(CPK上昇グレード2)
60代男性、高血圧・心筋梗塞を既往。血液検査にて脂質異常症と診断され、リピトール10mg開始。
発現期間は不明。検査の結果、CPK:9792となり、2週間後に中止。中止後、約1カ月後の検査でCPK:240に低下。自覚症状はなし。
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過去の民医連副作用モニターでも、リピトールを含め、スタチン系薬剤の副作用報告、注意喚起を行ってきました。やはり、筋肉痛・肝機能障害・CPK上昇 の報告が多く、顕著に認められている副作用です。リピトールだけではなく、後発品も含めたスタチン系薬剤の処方件数は増加しています。症状の発現時期にも 個人差があり、副作用を早期発見するためには、定期的な血液検査と注意深い観察が必要です。
(民医連新聞 第1547号 2013年5月6日)
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