副作用モニター情報〈386〉 総合感冒剤と薬疹
総合感冒剤の医療用製剤は、抗ヒスタミン剤に加え、いずれも2種類の解熱鎮痛剤、NSAIDsのサリチルアミド(アスピリン類似)と非 NSAIDsのアセトアミノフェンが9:5の比率で配合されています。市販薬では、ACE処方と銘打って、サリチルアミドの代わりに、その前駆体であるエ テンザミドを配合した商品もあります。
2002年からの10年間で、総合感冒剤を使用した後のじんま疹や湿疹などの皮膚症状が、当モニターに98件報告されています。抗生物質やNSAIDs と併用されているなど他の薬物も被疑薬と考えられる症例、ウイルス感染との鑑別が難しいとされる服用当日の発症例が目立つのですが、抗ヒスタミン剤も配合 されているため一定のアレルギー反応は抑えられることを考えると、総合感冒剤を唯一の被疑薬とするには判断に迷うケースです。
この1年間の総合感冒剤使用後の皮膚障害は14件と発生割合は大きく変わりませんが、抗菌剤との併用は3例、NSAIDsとの併用は0例、と圧倒的に少 なくなりました。処方検討がすすんだ結果でしょう。Ⅳ型アレルギーでT細胞関与が多いとされる服用開始後3日目くらいに発症した症例は、手のひらの湿疹、 顔面銭型固定疹、紫斑型薬疹、口腔咽頭粘膜障害、の4例でした。
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配合剤である総合感冒剤はアセトアミノフェン単独製剤に比べれば、ウイルス感染時にはスティーブンス・ジョンソン症候群(SJS)をはじめとする皮膚関 連の有害作用に遭遇するリスクが高くなります。当モニターの345回で報告した手足口病とSJSの症例では被疑薬を抗生物質としていましたが、PL顆粒が 最初に使用されていたので、PL顆粒も被疑薬のひとつとして考えなければいけませんでした。
感冒の発熱や頭痛などに対しては、アセトアミノフェン単剤で対処することで有害作用をさらに減らすことができると思います。試してみてはいかがでしょう?
【参考資料】
Exanthematous Drug Eruption ( Clinical Practice) NEJM, June 28, 2012 (Robert S. Stern, M.D.著)
(民医連新聞 第1540号 2013年1月21日)
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