副作用モニター情報〈385〉 オキサリプラチンによるアナフィラキシーショックの副作用について
オキサリプラチン(商品名;エルプラット注(R)は、フルオロウラシル、レボホリナートを併用したFOLFOX療法として、進行・再発の大腸がん の標準治療のひとつです。2009年8月には、結腸がんの術後化学療法にも適応が拡大されました。過去1年間に副作用モニターに報告された副作用は、アナ フィラキシー様症状(ショック含む)3例、顔面紅潮、全身掻痒感、全身発赤の1例、フルニエ症候群1例、溶血性尿毒症症候群1例がありました。
今回は、アナフィラキシーショックを起こした症例について紹介します。
症例)50代男性。下行結腸がんにて左半結腸切除術後、 局所高度進行がんのため、FOLFOX療法開始(全6回施行)。血小板減少、末梢神経障害出現のため、FOLFIRI療法(エルプラットのかわりにカンプ ト注(R)使用)に変更し、13回施行。再度、FOLFOX療法開始(累計8回目)。前処置として、ステロイド剤、H1・H2ブロッカー投与。エルプラッ ト注(R)投与開始15分後、「気持ち悪い」と訴え、全身冷汗、嘔吐(+)、血圧低下(70台)、体温低下(35.5℃)、脈拍60回/分、 SpO290%のため、投与を中止し、補液・乳酸リンゲル液(ソルラクト(R))を開始し、ステロイド(ソルメルコート(R))200mg投与。15分後 症状改善した。
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過敏症状を起こした症例はいずれも、FOLFOX療法→FOLFIRI療法→FOLFOX療法・XELOX療法(ゼローダ(R)との併用)・SOX療法(TS-1(R)との併用)に切り替えた際に発現していました。
エルプラット注(R)のアナフィラキシーの発現の特徴として、5回目以降(中央値7回目)に発現しやすく、繰り返し投与することで、発現が増加すること が知られています。アレルギー防止目的の前処置を行っていても発現することがあるため、投与中の観察を十分に行う事が重要です。エルプラット注(R)の再 投与時は、前回療法で何もなかったからと過信せず、とくに注意してください。
(民医連新聞 第1537号 2012年12月3日)
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