副作用モニター情報〈384〉 ジクロフェナクナトリウム(NSAIDs)による高カリウム血症と腎機能障害
ジクロフェナクは、非ステロイド性抗炎症薬(NSAIDs)の一種で、主に解熱、鎮痛のために用いられています。高カリウム血症や腎機能障害など の副作用報告をまとめてみました。当モニターにも、過去1年間で、ジクロフェナクナトリウムによる高カリウム血症2件、腎機能障害4件が報告されていま す。発現時期はさまざまですが、投与初期の段階での報告が多くみられます。
症例1)60代男性、II型糖尿病、高血圧、脂質異常症。 腎機能は正常。排膿手術後、疼痛緩和目的にジクロフェナク(ソレルモン錠)内服開始。術前のクレアチニン値1.00、カリウム値4.2。内服開始後7日か ら14日後の間に、クレアチニン値1.36、カリウム値6.2まで上がった。内服中止、アーガメイトゼリー投与で、徐々に回復する。
症例2)70代男性、糖尿病、慢性腎不全、高血圧、前立腺肥大症、緑内障。もともとクレアチニン値1.4程度。歯科でジクロフェナク(ボルマゲン錠25mg)処方。6錠(150mg)/日服用。翌日、無尿にて外来受診。クレアチニン値2.50で入院。輸液負荷し、回復する。
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ジクロフェナクをはじめNSAIDsによる腎障害の発生機序として、プロスタグランジン(PG)合成の抑制が原因のひとつと考えられています。PG合成 が抑制されると、腎血流量が減少し、Naの再吸収や抗利尿ホルモン作用が亢進することなどによって、Naおよび水が貯留します。その結果、尿量が少なく なったり、顔や手足がむくむなどの症状や、それに伴う体重増加がみられます。また、NSAIDs投与により、レニン、アルドステロンの分泌が抑制され高カ リウム血症をきたす場合もあります。
NSAIDsは重篤な腎機能障害のある患者への投与は禁忌となっています。高齢者、軽~中等度の腎機能障害患者や腎機能障害の既往のある患者への投与 は、投与量の減量や投与間隔をあけるなど慎重に投与する必要があります。こうした患者ではアセトアミノフェンの使用も選択肢となります。
(民医連新聞 第1536号 2012年11月19日)
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