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副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

副作用モニター情報〈372〉 バレニクリン酒石酸塩(チャンピックス錠(R))の副作用

 バレニクリン酒石酸塩(チャンピックス錠(R))は2008年1月に「ニコチン依存症の喫煙者に対する禁煙の補助」の効能・効果で承認され5月に発売、国内累積使用者数は約85万人と推定されています。
 全日本民医連・副作用モニターでは、2008年からこれまでに97例(複数症状発現を含む)の副作用症例が報告されています。医薬品安全性情報 No284(2011年10月)で「チャンピックス錠(R)による意識障害に係る安全対策について」注意喚起が行われたことを受け、副作用症例をまとめま した。
 主な副作用症状は次の通りです。【消化器】吐き気52件 便秘17件 胃部不快感9例 その他16件【精神障害】不眠13件 悪夢10件 頭痛8件 うつ7件 イライラ4件 その他3件【神経系障害】眠気4件 意識消失2件 その他4件
 さらに、かゆみ・発疹が6件、呼吸困難・過呼吸2件、添付文書の記載がない副作用では着色尿1件などが報告されました。発現期間は、1日以内21件 4日以内10件 10日以内41件 14日以内33件 1~2カ月以内41件 5カ月1件 不明18件で、副作用症状と発現期間の関連性は認められませんで した。
 意識消失の2例はチャンピックス錠(R)1mg服用後の発症で、非常に危険な状況でした。
症例1) 基礎疾患なし、車の運転中に意識消失し道路の側溝に突っ込む
症例2) 基礎疾患は糖尿病・狭心症、風呂場で意識消失
 精神疾患のある患者への投与は、解離性障害1例、統合失調症2例、うつ病2例と5例で認められ、このうち4例で悪夢、幻覚、うつの悪化等の精神障害の副作用が発現しました。
 製造販売元のファイザーでは今年1月、「チャンピックス錠(R)の服薬指導」を強化するための文書と新たな指導箋を出しました。精神疾患患者への使用は 「慎重投与」とされており「警告」にあるように、投与の際には患者の状態を十分に観察することが必要です。また「運転等危険を伴う機械操作はしないこと」 を徹底する必要があります。
 喫煙者は、セロトニンやドパミン等の脳内神経伝達物質が分解されにくく濃度が高い状態にあると考えられています。禁煙に伴いこれらの伝達物質の放出と濃 度が低下した状態となり一時的なうつ症状(禁煙うつ)が出現することがあります。うつ、イライラなどの症状を認めた例4件で、チャンピックス錠(R)の中止、喫煙の再開により副作用症状が速やかに改善しました。症状は副作用ではなく、「禁煙うつ」の可能性も考えられます。
 安全で有効な禁煙治療をするために、バレニクリン酒石酸塩投与中の管理・指導は継続的に行う必要があると考えます。

(民医連新聞 第1524号 2012年5月21日)

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