副作用モニター情報〈364〉 フラベリック錠 音が半音下がって聞こえる副作用について
咳止め薬として使用されるフラベリック錠(成分リン酸ベンプロベリン)による聴覚障害が、当モニターに4件報告されています。2006年に、当欄でカルバマゼピンについて同様の報告をしましたが、以降、カルバマゼピンでも2例報告されています。添付文書に記載されている副作用ですが、「聴覚障害」としか 書かれていないため、どのような障害なのか具体的な症状がわかりません。今回の症例からは、その特徴が見えてきます。
いずれの場合も、「半音下がって聞こえる」と、音程の低下の程度が揃っています。服用中止後、すぐに改善する傾向がありますが、長い人は2週間程度かかるとの報告もあります。この副作用は絶対音感を持つ人だけでなく、日常生活の中でも電話の音や呼び鈴の音など、すべてが半音下がって聞こえるという状態に なるため、比較的はっきりわかるといえます。音に関係する仕事をしている人がこの副作用に遭遇すると非常に困ります。
フラベリック錠は感冒による咳症状の緩和に用いられるため、おおむね短期間で服用が終わってしまいます。「風邪のせいで音が変に聞こえるようになった」 とか「気のせい」「思い過ごし」などと済ませてしまって、見逃されている疑いもあります。
同様の報告があったカルバマゼピンは、注意力を低下させる、周囲への関心を減らす、という作用から、「気がつかないし気にしない」という状態になっていて、訴えにつながらない可能性もあります。
にわかに信じがたい内容ですが、このような訴えにも耳を傾け、先入観を捨てて副作用を疑ってみてください。
(民医連新聞 第1514号 2011年12月19日)
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