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副作用モニター情報(薬・医薬品の情報)

副作用モニター情報〈361〉 メトトレキサートによるリンパ増殖性疾患の副作用

 メトトレキサート(リウマトレックスなど)は、慢性関節リウマチの中心的治療薬として使用され、日本でも2011年2月に、公知申請による用法用量の変更が承認され、第一選択薬としての使用と最大週16mgまでの使用が認められるようになりました。
 メトトレキサート(MTX)の重篤な副作用には、肺障害、骨髄障害、肝障害、感染症増悪等がよく知られており、最近もB型C型肝炎ウイルスキャリア患者 の再活性化による重篤な肝障害に関する使用上の注意の改訂もありました。
 民医連の副作用モニターにも間質性肺炎や汎血球減少などの重篤な副作用報告がよせられていますが、長期投与に伴う注意すべき副作用として、MTX関連リンパ増殖性疾患が報告されたので紹介します。
 症例) 60代前半 女性
 関節リウマチにて、メトトレキサート6mg(3か月)⇒8mg(1年2か月)⇒10.5mg(7か月)服用中。服用開始2年後に左腋窩リンパ節腫脹あ り。触知エコー検査にて左腋窩に3.8cmの腫瘤を認めた。右腋窩にも肥大したリンパ節が散在しており同剤と併用していたアクテムラを中止した。中止1M 後:血液内科に10日間入院となるが、リンパ腫の退縮がみられ治療なしで退院となる。中止2M後:腋窩(特に左)のリンパ腫脹は改善傾向にあり経過観察と なる。アクテムラは再開された。

 MTX関連リンパ増殖性疾患とは、MTX長期投与に伴い出現するリンパ腫で、WHO分類では免疫不全に伴うリンパ増殖性疾患に分類されています
 比較的高齢者に多く、MTX投与後平均3年で発症しています。MTX-LPD発症例のMTX投与期間は平均30か月(2-108か月)、総投与量は平均 1500mg(180-3600mg)といわれています。移植後リンパ増殖性疾患のような100%の関連はないのですが、60%程度エブスタインバー (EB)ウイルスが組織に証明され、EBウイルス感染、再活性化との関連が注目されています。MTX中止により約半数例、特にEBウイルス関連では自然退 縮が見られる特徴があるとされています。
 いずれにしても、日本リウマチ学会が2010年9月に発表した「関節リウマチ治療におけるメトトレキサート(MTX)診療ガイドライン」等を参考に、その適正使用と重篤な副作用の早期発見がもとめられる薬剤です。

(民医連新聞 第1511号 2011年11月7日)

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