副作用モニター情報〈278〉 インターフェロンによる網膜症
インターフェロン(INF)による網膜症は近年知られてきた副作用です。頻度は報告者によって様ざまで、インタビューフォームでは「網膜出血・網膜白斑 等の網膜の微小循環障害、眼痛」が0.1~5%未満と報告されています。ほかに、5人に1人程度、眼底検査で何らかの異常が見られたとの報告もあります。
発症のメカニズムは不明ですが、用量依存的で、糖尿病、高血圧、高齢者で発症率が高く、αとβで発症率の差はなく、INF治療に抵抗性の症例や再発例で 高率という報告があります。好発時期は投与開始4~8週間で、2週間~6カ月まで幅があります。発症した場合、通常は中止しなくても6週間ほどで消失し、 正常化するとされています。
この副作用報告は増えており、今回は1例を紹介します。
【ペグイントロンが疑われる眼底出血】
60~64歳男性。糖尿病あり。C型肝炎の治療でペグイントロン100μg・レベトール800mgを開始。レベトールは胃不快感のため自己中止。投与開 始から3週間後に眼科受診、眼底に軟性白斑を伴うしみ状出血が多数見られた。INF療法の継続は難しいと考えられ、内科受診、ペグイントロンを中止した。
糖尿病の患者は眼底の病変を有する場合が多く、INF投与で眼底出血が進行、または重篤になったり、網膜症が悪化する危険性があります。INF療法では、視力障害が進行しないよう管理を徹底することが必要です。
具体的には、糖尿病を管理する医師および眼科医と密に連絡を取ること、レーザー治療などの処置を事前に実施すること、投与中は2週間おきの眼底検査を確実に実施することが重要です。
(民医連新聞 第1415号 2007年11月5日)
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