副作用モニター情報〈355〉 総合感冒剤で高齢者に副作用 抗ヒスタミン剤の含量に注意!
総合感冒剤「PL配合顆粒R」によるせん妄の副作用が報告されました。全日本民医連の副作用モニターへ過去1年間に報告された総合感冒剤での副作 用症例24件のうち、70歳以上の高齢者の報告は12件。せん妄などの精神神経系の副作用が、その半数の6件報告されています。また、70歳未満では、精 神神経系の副作用は口渇の1例のみで、ほとんどが発疹などの過敏症状でした。
症例)90代前半女性。高血圧症および認知症あり。約37度の発熱と食欲低下気味で、PL配合顆粒1回1g毎食後、ミヤBM1回1錠毎食後処方。2回服 用したところ、ニコニコ笑う、普段しない昔話をする、一人で話していて会話にならない、大きな幻聴など、せん妄状態が見られたため、PL配合顆粒、ミヤ BMを中止。6日後に改善傾向、11日後に回復(降圧剤以外の併用薬なし)。
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風邪の場合、配合剤である総合感冒剤が処方されますが、配合成分については見落とされがちです。
せん妄などの精神神経系の副作用発現には、コリン作動性神経伝達の障害が大きく関与していると言われています。
PL配合顆粒R1gに配合されている抗ヒスタミン薬プロメタジンメチレンジサリチル酸塩の量は13.5mgであり、ピレチアR10mgに相当します。また、ペレックス配合顆粒R1gにはポララミンR1.5mg相当のマレイン酸クロルフェニラミンが配合されているため、同様に注意が必要です。
体内のアセチルコリンの量は年齢とともに減るため、高齢者は抗コリン作用を起こしやすくなります。その結果、抗コリン作用薬を服用するとアセチルコリンが高率に遮断されます。また、老化に伴い、体内のアセチルコリンが少ないとうまく作用しません。
高齢者への処方の際には、用量を減らすなどの対応が必要です。また、総合感冒薬ではなく、症状に応じた薬剤を選択することも、副作用を回避する方法のひとつです。
(民医連新聞 第1504号 2011年7月18日)
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